◆ことばの話2621「数字の読み方2006夏」
えー、数字の読み方で、いろいろと意見が分かれるものがございます。
たとえば「七」は「シチ」なのか「ナナ」なのか、とか「九」は「ク」か「キュー」なのかとか。
そういった気になった数字の読み方などについてここ2年ほどでメモしておいたものを、ここに集めて記録しておきます。
*2004年9月24日
戦争中、「参謀第二部」のことを「G2」と呼んだとのこと。脚本を書いてる「G2」とは関係ない。
*2004年12月31日
NHK「ゆく年くる年」の男性ナレーター。
「山古志村から避難してきた929人(キューヒャクニジュークにん)が仮設住宅で生活している」と。「キュー」と「ク」が混在。
*2005年1月16日
NHK「BS2」で、スポットCMで女性アナが、「BS2」を
「ビーエス・トゥー」
と言った。「ツー」ではなく。英語読み。
*2005年1月17日
天皇陛下が、
「阪神淡路大震災10『周』年」
と、兵庫県公館での追悼式典で。村田よしたか防災担当大臣も、
「10周年式典」
と言った。正式の式典名がそうなのかも。放送では普通、震災のような出来事の場合「周年」は使わないようにしている。また、天皇陛下は、
「意義深いものだ」
という言葉を、
「いぎ・ふかい(HL・LHL)」
と。「深い」は濁らなかった。
数字とは関係ないけど、1月17日の震災10年でうちの番組に出演してくれた、神戸出身の歌手・平松愛理さんが歌った曲『美(うま)し都、WE LOVE KOBE頑張ろや』の歌詞で、
「青春を賛歌する都」
という部分があったけど、これって、
「謳歌する都」
ではないのかな?と思いました。
*2005年1月22日
「足場作業板」の数え方は、「1スパン」。数え方の単位。
*2005年3月9日
読売新聞が洋数字を採用。その関連で「100歳」「107歳」の「100」「107」は、横に3つのアラビア数字が並んでいたが、その横に出ていた記事の3セクの社員「674人」「553人」は、「6」「7」「4」人、「5」「5」「3」人が、縦に並んで書いてあった。同じ3ケタの数字なのに、なぜ?
*2005年3月13日
日本テレビの『バンキシャ』に出てきた明治30年生まれの最高齢の女性が「1月19日」を、
「1げつ19にち」
と「がつ」ではなく「げつ」と言っていた。また、「お守り5体」と字幕スーパーが。お守りの数え方は「体」なのか?
*2005年3月18日
「4次」の読み方は「ヨンジ」か?それとも「ヨジ」か?
*2005年4月3日
こぶ平の「林家正蔵」、なぜ「九代」?「九代目」ではないの?
*2005年10月31日
東京のJR中央線の車掌さんの車内アナウンスで、
「長い座席はシチニンがけです」
と「七人」(シチニン)と!
*2005年11月7日
ふらっと入った居酒屋に置いてあった「芋焼酎」の名前が、
『不阿羅王』(ファラオと読むみたい)『拾伍歩』(じゅうごねんのあゆみ)』
となかなか凝っている。これに対して同じ焼酎でも「麦焼酎」は、
『九代目』『茶屋』『源次郎』
とシンプルだった。あんまり数字に関係ないけど。
*2005年11月22日
ABC『本当は怖い〜』で線維筋痛症について取り上げていました。その際に女性ナレーターが、「11か所」を、
『じゅういちかしょ』
と、二回も読んでいました。「ジューイッカショ」でいいのでは?
*2006年2月16日
フィギュア・スケートの男子選手、関西大学の高橋選手。
「ジャンプを一本とんだら」
と。スケートでもジャンプの数え方は「1本、2本」なのか。また、後輩の織田信成選手は、「大舞台」を「おお舞台」と言った。
*2006年2月26日
「実験用マウス」の数え方(助数詞)は、「一頭、二頭」だと思う。「実験用ラット」は「匹」。「ラット」と「マウス」はどう違う?
*2006年4月9日
佐藤俊樹『桜が創った日本』(岩波新書)で、
「明治零(ゼロ)年代」(78ページ)
「明治ゼロ年代」(82ページ)
という表現が出てきました。これは、
「明治元年が九年までをさす呼び方」
なんだそうです。
*2006年4月10日
「票」の数え方について。「20万票(ビョウ)」、「3万票(ビョウ)」と、「ん」のあとは「ビョウ」になる。しかし「4」だけは「ヨンヒョウ」と濁らない。これはもともと「4票」は、「シヒョウ」で、「(よ)ん」じゃなかったから「ビョウ」ではなく「ヒョウ」となる。「3階」は「サンガイ」と濁るのに「4階」は「よんかい」と濁らないのと同じだろう。
でもなぜ「3俵」「4俵」は「サンピョウ」「ヨンヒョウ・ヨンピョウ」と半濁音なのか?また「3件(ケン)」と「3軒(ゲン)」、「3階(サンガイ)」と「3回(サンカイ)」の違いについても明確な答えが欲しい。ふつう「一匹、二匹」もしくは「一羽、二羽」と数えるウサギは、なぜ「一兎、二兎」という数え方もあるのか?
*2006年4月10日
警察は「110番」、消防・救急車は「119番」というのは誰でも知っているが、この日のニュースでは「118番」というのが出てきた、これは「海上保安部の電話番号」なのだそうだ。むやみにかけないように。
*2006年4月16日
キッコーマン・すきやき肉豆腐のCMで、
「半分こ、四分(よんぶん)こ、八分(はちぶん)こ」
と歌っているが、果たして「四分こ」「八分こ」などという言葉はあるのか?聞いたことがない。
*2006年4月23日
坂本冬美の『夜桜お七』。これは「おナナ」ではなくもちろん「おシチ」。それはさておき、この曲の前奏は、『学生街の喫茶店』と同じだ!
*2006年5月7日
日本テレビの豊田順子アナウンサーが、お昼のニュースで、
「1600時間」
をコンパウンドして
「センロッピャクジカン(LHHHHH・HLL)」
と読んでいた。
*2006年5月11日
JR大阪駅で、
「まもなくナナ時16分発・普通京都行きが、ナナ番乗り場にまいります。」
と女性ナレーターの声で。
*2006年5月20日
読売新聞のドナルド・キーンの連載。『私と20世紀のクロニクル』のタイトルの「20世紀」にルビで、
「にじっせいき」
とありました。
*2006年5月23日
「回」と「階」のアクセントの違いについて。「回(カイ)」は「カ」の次で下がる。「階」は平板。ただ「20」と「30」は「(ニ・サン)ジッ」の次で下がるのもあり。
*2006年5月23日
阪急・十三駅のアナウンス。
「まもなく3号線に、通勤準急が到着いたします。」
「3番線」ではなく、「3号線」。
*2006年6月19日
ABCの浦川アナウンサーが、「7年前」を、
「なな年前」
と。「シチ年前」ではなく。私も「なな」派です。
*2006年6月21日
近くのスーパー・ダイエーで、野菜や果物の数え方チェック。
「キーウイ=1玉」「メキシコ産アボガド1玉」「じゃがいも大1玉」「キャベツ1玉」「レタス1玉」「ブロッコリー1株」「ライム、レモン、パプリカ、ミャンマー産アボカド1個」「たまねぎ二個1ネット(網入り)」
「アボガド」ですが、メキシコ産は「玉」でミャンマー産は「個」。「玉」の方が大きいのかな?それに「メキシコ産」は「アボガド」と「ガ」で濁り、「ミャンマー産」は「アボカド」と「カ」で濁らず。本当は「アボカド」だけど。そもそも、ミャンマーから「アボカド」を輸入してたんだなあ。知らなかった。
*2006年7月1日
「15階建て」のアクセントは「平板アクセント」。2語意識がない。
「ジューゴカイ・ダテ(LHHHH・HH)」
*2006年7月1日
テレビ朝日の火災保険金をめぐるニュースで「1500万円」をコンパウンドして、「1語意識」を持って、
「センゴヒャクマン・エン(LHHHHHL・LL)」
と読んでいた。しかし、このぐらいの金額になると、「2語意識」を持って、
「セン・ゴヒャクマンエン(HL・LHHHLLL)」
の方が妥当では?
*2006年7月17日
「117」の時報は、「20秒」「30秒」「40秒」がすべて「頭高アクセント」だった。しかし将棋や囲碁の持ち時間の告知は、「20、30、40秒」すべて「中高アクセント」だなあ。
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2006/8/9 |
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(追記)
8月17日の夜11時台のフジテレビのニュースで、宮崎県から台風中継をしていた女性リポーターが、
「8世帯(はっせたい)」
と言っていました。「はちせたい」ではなく。
また、8月22日のNNNお昼のニュース(ニュースD)で、テレビ信州から中継していました。その中で、7月の集中豪雨で土石流に襲われた長野県の小学校が「34日ぶりに」授業を再開したというニュースで男性アナウンサーが、
「さんじゅうよっかぶりに」
と言っていました。「さんじゅうよんにち」ではなく。
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2006/8/24 |
(追記2)
2006年9月13日、日本テレビ「ニュース・リアルタイム」の男性ナレーターが、神戸の公園で銅線1200メートルを盗まれた事件で、「1200メートル」をコンパウンドして、
「センニャク・メートル(LHHHH・HLLL)」
と言ってました。同じく9月13日のNHKお昼のニュースの登坂アナウンサーは、「19日」をコンパウンドして「中高アクセント」で
「じゅう・くにち(LH・HLL)」
と読んでました。一方9月14日の日本テレビ「ニュース・リアルタイム」の笛吹雅子キャスターは、
「じゅう・くにち(HL・HLL)」
と読んでいました。カナダの銃乱射事件で。 |
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2006/9/14 |
(追記3)
9月10日の朝、NHK大阪で放送していた『かんさい想い出シアター』では、1978(昭和53)年に放送された『新日本紀行』を流していました。ちょうどその年の9月30日をもって廃止された、京都市の市電=路面電車と、その町に住む人たちの思いを伝えていました。
そのナレーション(NHKは語りと言うそうですが)を担当していた富本アナウンサーは、「9月30日」という日付の「30日」を「頭高アクセント」で、
「サンジューニチ(HLLLLL)」
と言ってました。また「佇まい」という言葉も、「中高アクセント」の「たたずまい(LHHLL)」ではなく、
「たたずまい(LHHHH)」
と「平板アクセント」だったので「え?」と思いましたが、アクセント辞典を引いてみると2番目のアクセントとして「平板アクセント」も載っていたので、「へえー」と思いました。30年弱という期間でも、アナウンサーのアクセントは変わるのだなあと思いました。恐らく今は「平板アクセント」で「たたずまい(LHHHH)」と読む人は、60歳以下の人(つまり現役の局アナ)ではほとんどいないことでしょう。 |
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2006/9/19 |