◆ことばの話2500「ベッケンバウアーとイナバウアー」
ダジャレ、おやじギャグの定番の一つに、
「その話は『ベッケンバウアー』」
というのがあります。「別件」とサッカーの「ベッケンバウアー」をかけた「ダジャレ」です。
ベッケンバウアーと言えば、現役時代はバイエルン・ミュンヘンや西ドイツ代表の主将として、
「皇帝(カイザー)」
と呼ばれ、1974年の西ドイツワールドカップでは、空飛ぶオランダ人・クライフ率いるオランダ代表を下して、見事優勝を果たした偉大な選手です。引退後も、西ドイツ代表の監督として、1990年のイタリアワールドカップで、マラドーナ率いる前回メキシコ大会優勝のアルゼンチン代表を下して優勝を飾っています。今回の2006年ドイツワールドカップでは、たしか大会実行委員長を務めていたのではないでしょうか。
でも、そういったことは、その時代を私が知っているからで、ちょっと世代がずれると、もうそれはわからないのでしょうねえ。
3年目のAアナウンサーに聞いてみると、
「ああ、聞いたことがありますよ。『それは別件バウアーだ』って。よく番組のスタッフが言っています。そう言うものかと思ってました。」
とのこと。新人のRアナウンサーは、
「イナバウアーなら知っていますけど、ベッケンバウアーは知りません」
ほお、さすがにトリノ・オリンピック開催中だけあるね、しかも注目のフィギュアスケート女子の荒川静香選手の得意技と来ましたか。「イナバウアー」って背中を思いっきりそらす技でしょ。
でも「ベッケンバウアー」だから「別件」に掛けられたけど、「イナバウアー」だと「否」に掛けるしかないなあ・・て、別におやじジギャグの材料に使わなくてもいいんですね。
頑張れ、荒川選手! |
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2006/2/21 |
(追記)
荒川選手、金、取りましたね!良かった!おめでとう!!
で、東京のHさんからメールです。
『こちらでは、けさ(3月1日)の東京新聞に、「イナバウアー」ブームという記事が載っています。
その中で、本来のイナバウアーについて、
「片方の足(ひざ)を曲げ、もう片方を伸ばして滑る“足技”」(別の資料では“両足のつま先が外側を向く”)
として、「エビぞり」のことではないと説明しています。早くも流行語大賞の候補だそうですが、暮れには多分“失速”しているのではないでしょうか。』
そうなんですか。そういえば、そういった記述も確か目にした気はするのですが(新聞で)、でも荒川選手の「イナバウアー」は「エビぞり」ですよね。わかりやすく言うと。つまり「本来のイナバウア」
ではなく、
「アラカワ版イナバウア」
ということですね。今日(3月1日)の、「ニュースプラス1」(日本テレビ)に出演していた荒川静香選手に、本物のイナ・バウア選手の50年ぐらい前の氷の上で滑っている映像を見せていました。この人がイナ・バウアーさんなのかと、なかなか貴重な映像でした。荒川選手も初めて見たそうです。というより、「イナバウア」がもともと人名であることを知ったのは最近だと話していました。ベッケンバウアーが人名であることを最近知ったAアナウンサーのようなものか。違うか。 |
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2006/3/1 |
(追記2)
3月4日の読売新聞のベタ記事に、自民党の中川政調会長が、メール問題でお騒がせの民主党・永田議員を指して、
「逆イナバウアー状態」
と言ったと。武部幹事長に対する国会内でのおわびの姿勢を指しての皮肉です。なかなかタイムリーです。
3月6日の産経新聞には、独立行政法人・海洋研究開発機構が、エイの形をした海中探査ロボット「フラッピング・フラット・フィッシュ」(全長90センチ・幅160センチ)を開発したという記事が出ていました。見出しは、
「進化探査でもイナバウアー」
しなやか泳法のエイ型ロボットということです。
それにしてもイナバウアーはすごい人気です。荒川選手をして、
「私より有名」
と言わしめるほどです。さてそんな昨今、「ゲツキン!」スタッフと話していると、
「『イナバウアー』って、『稲葉』が『ウアー』って言ったからとかって、道浦さんが言ったんでしょ?」
へ?なんのこと?言ってへんで。
「いや、ダジャレやから、道浦さんかと・・・」
何でもかんでもオレのせいに、せんとってちょうだい!稲葉がウワーって・・・「うわ」が「ばむ」から「うわばみ」かいな・・・。
さて、ここで問題です。
101人乗った物置とかけて、荒川静香の得意技とときます。その心は・・イナバウアー・・・おあとがよろしいようで・・・。
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2006/3/6 |
(追記3)
3月5日の読売新聞には、
「荒川、凱旋の舞」
という記事が。その中で
「上半身を反り返らせて滑る得意のイナバウアーも披露」
とありました。荒川選手の「イアナバウア」は、いわゆる「イナバウア」ではなく「静香スペシャル」なんですよ、やっぱり。荒川選手は、
「イナバウアーは私よりも人気者になっていてビックリ」
と、笑顔だったそうです。
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2006/3/7 |
(追記4)
3月6日のNHK「ラジオ深夜便」で女性アナウンサーが、荒川選手のトリノ五輪での演技の時の曲を、
「トゥーランドゥット」
と言っていましたが、原語に近いとそうなのでしょうか?でも原語表記も、
「TURANDOT」
だと思いますが。日本語では、
「トゥーランドット」
ではないのでしょうか?Google検索(3月7日)では、
「トゥーランドゥット」= 24件
「トゥーランドット」=82万7000件
でした。
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2006/3/7 |
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