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◆ことばの話2389「あっざーす」
「ありがとうございます。」
の意味の言葉で、早口で雑に言う言葉である、
「あっざーす」
が、『月刊言語』2005年12月号の、亀井 肇さんの「新語・流行語」を紹介するコーナーに出てきました(163ページ〜164ページ)。それによると、
「あっざーす」=「ありがとうございます」の体育会系学生の略し方。しかし、親しい後輩から先輩に対する答え方、つまり上下関係がはっきりとしていて、なおかつ、当事者同士が親しいような場面でのみ用いられるもの。後輩から先輩に対して「ありがとう」では礼節が足りないけれども、「ありがとうございます」では他人行儀ということで、「あざーっす」が適度な礼節と親近さのバランス感が得られるということから登場してきたようである。」
あれ?この文章のタイトルは、
「あっざーす」
なのに、本文中に出て来るのは、
「あざーっす」
と微妙に違うな。亀井さんも混乱してる?
この「あっざーす」あるいは「あざーっす」、これまでにも耳にしていたかも知れませんが、あまり気にしていなかった言葉です。でもなんだか、これも今年の流行語のようなんですね。
これを見て思ったことは、この「あっざーす」あるいは「あざーっす」は、明らかに「耳から入った言葉」ですね。書き言葉ではもちろん「ありがとうございます」です。耳から入った言葉と目から入った言葉、というと思い出すのが「外来語の表記」。最近は、
「耳から入った言葉の表記を重視すべきではないか」
という論調が強いように感じますが、しかしちょっと待って!耳から入った音を採用していくということは、この「あっざーす」が「ありがとうございます」に取って代わるということ?そんなことを許していては、言葉はとめどなく乱れるのでは?流行語的に扱われるから「あっざーす」は許容されているのではないでしょうか?
『掘った芋、いじんな』
が、発音上は使われることがあっても、表記まで、
「What time is it now?」
に取って代わることがないように。そういう意味では発音と表記は必ずしも一致しない、というのが"真実"なのでは何でしょうか。
ちなみに、Google検索では(12月6日)、
「あざーす」= 9万0600件
「あっざーす」= 321件
「あざーっす」=6万6900件
でした。ということは、一番使われているのは「あざーす」とシンプルな形、次は「あざーっす」という後半を伸ばす形。『月刊言語』で出てきた「あっざーす」はほとんど使われていないようですね、ネット上では。
なおこの言葉は、2005年の「新語・流行語大賞」にもノミネートされました。(ノミネートは60語です) |
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2005/12/5 |
(追記)
アナウンス部のアルバイト・牧野さんによると、「あざーっす」を流行らせたのは、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の太めの方のメガネをかけていない方の人だそうです。 |
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2005/12/6 |
(追記の訂正)
朝日新聞の福田さんから、
「アンジャシュは、どちらも太っていません」
と画像付きのメールが来ました。あ・・・・
「アンタッチャブル」
だった・・・・。
「あざーっす」と言っていると、他人から聞いて知ったぐらいですから、よくわかんなかったのですね、やっぱり。「アンタッチャブル」のメガネをかけていない方の人、ということで、よろしくお願いします。
・・・・と、12月7日に訂正したつもりで、まだしていなかったようです。新人アナの五十嵐君からも同じ指摘を受けました。どうもすみません。 |
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2005/12/12 |