|
◆ことばの話2327「日配」
近くのスーパーに行くと、看板にまず
「DAILY FRESH MART」
と英語で書いてある横に、こう書かれていました。
「精肉・鮮魚・青果・グロサリー・日配」
この中の「グロサリー」ってのがまず分らなかったので、妻に聞くと、
「食料雑貨じゃないの?」
ということで解決。しかし次の日本語が分りません。
「日配」
って何?読み方は「にっぱい」でいいのかな?Google検索(10月11日)してみると、
「日配、スーパー」=5万4900件
でした。
『日本国語大辞典』『広辞苑』『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』『新潮現代国語辞典』『明鏡国語辞典』『日本語新辞典』、ネットの『大字林』で、「にっぱい」を引いてみても、「日配」は載っていませんでした。
ネットでいろいろと関連ありそうなものを読んでみると、「グロサリー」は、「チルドグロサリー」(日配品など)と、「ドライグロサリー」(一般加工食品・菓子・日用雑貨)の2つに分けられるそうです。それで、「日配品」とは?という事ですが、具体的には、
「豆腐、蒲鉾、納豆、牛乳、パン、玉子、1リットルジュース、菓子パンなど」
の総菜や飲料など、毎日仕入れて、その日のうちに売り切るような商品、食品スーパーの利益源泉である商品を「日配品」と呼ぶようです。お店によって、分類は多少違うみたいです。読み方はやはり「にっぱい」でいいみたい。
どうやら「スーパー業界用語」のようですね。でも、業界用語とは言え、スーパーは我々消費者にもっとも近い小売店のひとつですし、看板に書かれているぐらいですから、一般の国語辞典にも採用して欲しい言葉の一つですね。
|
|
2005/10/21 |
(追記)
報道部のディレクターで、元・大手スーパーの会社で働いていたM君が、「日配」について教えてくれました。それによると、そのスーパーでは「日配」は「デイリー」と呼ばれていて、具体的な品目としては、
「豆腐、牛乳、漬物、練り物(ちくわ、蒲鉾など)、ソーセージ(魚肉など安価なもののみ)、ヨーグルト、紙パックのジュース(缶・ペットボトルのジュースは除く)、卵、パン、生菓子(まんじゅうなど)」
との事で、主に、
「保冷車で配達されるもの」
だそうです。パンは保冷車では運ばれてきませんが、やはりその日のうちに消費する(売ってしまう)ものを指すようですね。日持ちのしないもの。これに対して「乾物、菓子、ラーメン」などは、
「ドライ・グロサリー」(略してドライ)
と呼ばれていたようで、これは保冷車ではなく普通のトラックで運ばれていたとのこと。また、高級なソーセージは、「精肉」部門の担当で、お肉屋さんが扱っていたということです。参考になりました。M君、ありがとう!
また川崎市の西尾さんからは、こんな情報が。
『「grocery」のほうは、精肉・鮮魚・青果の「生鮮3品」を除いた食材、特に加工食品類を指すことが多いようです。「日配(品)」という言葉を店内や折込チラシで見るようになったのはいつ頃からか記憶が定かではありませんが、20〜30年前には見かけなかったような気がします。字面でなんとなく意味は想像できるのですが、
「毎日仕入れて、その日のうちに売り切るような商品」
という意味であれば精肉や鮮魚も同じだと思うので、ちょっと気になる言葉です。何かの略語のようにも思えて、それも気になっています。』
とのことです。西尾さん、ありがとうございました。
|
|
2005/10/28 |
(追記2)
友人のY君からメールが来ました。彼は流通業に携わっています。
『日配とグローサリー。小売業の方、卸売業の方、ロジスティクス関係の方では、その言葉を使う「範囲」とか「意味」とかが微妙に違うかもしれません。私が「日配」と使うときには、ズバリ、
「惣菜、弁当」の総称
だと意識して使う事があります。もっと端的に言うと、
「受注生産品もしくは賞味期限が2日以内品」
と言い換えてもいいかもしれません。ハム・ソーセージ、牛乳などは「日配」の領域かもしれませんが、通常賞味期限が1週間〜1か月以上ありますので、ある程度保管が利き、生産量も調整できます。弁当や惣菜は作りすぎると廃棄という生産ロスを生じますし、受注数よりも少ないと機会損失というロスを生じます。資源という見方からは廃棄ロスがないほうが良いように思えますが、経営の視点では機会損失ロスも廃棄ロスと同等に重視されています。どちらの視点で見るかによって、使用する用語の解釈がやや異なるという変わった例ではないかと思います。
「グローサリー」は「常温流通食品」という意味で使っています。こちらはかなり広義ですね。念頭においているのは「缶詰、パック米飯、乾物、カップ(袋)麺」などです。「マヨネーズやケチャップ」も、こちらに入れています。わざわざ「常温」と書いたのは、「常温でない流通」があるからで、一般的には常温、チルド(0〜5℃未満)、冷凍(-5℃〜-18℃前後)、超冷凍(ー40℃以下)の4つの温度帯で流通します。温度は私が勝手にこれくらいとしているもので規定数値ではありません。温度に関していえば他にも氷温帯やスーパーチルドなどもっと細分化されていますが、大体の食品配送センターは3温度帯もしくは4温度帯のセンターが多いようです。』
ということでした。そうか業界によっても多少のゆれはあるということですね。大体の方向性はわかったような気がします。Y君、どうもりがとう!
|
2005/11/3 |