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◆ことばの話2274「水金地火木土天・・・」
平原綾香さんの歌う「ジュピター」という曲に合わせて、中越地震の被災地で花火大会が開かれたと、8月4日の『ズームイン!!SUPER』で紹介していました。それを見ていて、
「ジュピターって、冥王星だっけ?」
と、後ろの席にいた三浦アナウンサーに聞くと、
「ジュピターは木星じゃないですか?」
「そうか。じゃあ、冥王星は英語でなんだっけ?」
「えーっと、調べてみます・・・プルートですね。」
「プルートかぁ。浦沢直樹の漫画のタイトルだよね。『プルートウ』って。意味は『冥界の王』なんだよな。」
「ミッキーマウスが飼っている犬の名前もプルートだったですよ。」
「それより、ポパイの恋敵だろ、プルートと言えば」
などと話をしていると、小林アナウンサーが、
「水金地火木土天海冥か、水金地火木土天冥海か、どっちでしたっけ?私が中学受験の頃は、水金地火木土天冥海だったんですけど、あれって変わるんですよねえ?」
「え!順番変わるの?」
「そうなんですよ」
ということで調べてみたところ、なんと驚いたことに小林アナの言うとおりでした。
(順番が変わることにビックリしたのか、小林アナの言うことが正しかったので驚いたのかと言うと・・・・「どっちも」です。)
惑星は太陽の周りを円に近い楕円軌道を描いて回っていて、「太陽からの平均距離」は、太陽から近い順に、
「水金地火木土天海冥」
となると。ところが「冥王星」の軌道は、楕円の離心率が非常に大きいために、接近した時は太陽へ距離は29.694天文単位、遠ざかると49.386天文単位にもなるのだそうです。
冥王星は、太陽の周りを約248年かかって回っていて、その間の約20年間だけ、海王星よりも太陽に近い位置にいるとのこと。だから1979年1月から1999年3月までは、
「水金地火木土天冥海」
となるのだそうです。フーン、なんだかスゴイねえ。最近、冥王星よりさらに外側にも惑星があるのが発見されたとか。それを考えると、スペースシャトル「ディスカバリー」が行ってる「宇宙」は、地球からたかだか何十キロかそこらでしょ、地球の「フチ」みたいなものじゃないですか。それでもあれだけ大変なことなんですから、冥王星や海王星やそれより遠いところのことなんて、どうやってわかるんだろう?誰か住んでいるんだろうか?向こうでもこんなこと考えているのかなあ。夏空を見上げて考えてみるのでした。 |
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2005/8/5 |
(追記)
2006年8月25日のテレビ・新聞が伝えたところによりますと、ここ一週間ほど世間をにぎわしていた天文問題に決着がついたようです。
惑星の定義について、チェコのプラハで検討を重ねていた国際天文学連合(IAU)の総会は24日、冥王星を惑星から格下げして太陽系の惑星を8個とする最終決議案を採択したというのです。
これは、火星と木星の間に「セレス」、冥王星の近くに「カロン」、その外側に「第10惑星」(=2003UB313)という、冥王星クラスの「惑星」が見つかったため、それらを惑星の仲間に入れるかどうか、というところから話は始まって、そもそも冥王星は「惑星」じゃないんじゃないか、というようなところに話が落ち着き、冥王星は、
「矮小惑星」
に分類されたのです。つまり、惑星の順番は、
「水金地火木土天海」
になるということです。これからの教科書はこうなるのかア。ちょっと可哀想な冥王星。セレスとかカロンが見つからなければ、「惑星」の仲間でいられたのになあ。人間の勝手な分類とは別に、今も冥王星は存在しています。(と思う。) |
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2006/8/25 |
(追記2)
すみません、ポパイの恋敵は「プルート」ではなく、
「ブルート」
でした。訂正します。
9月15日の読売新聞によると、冥王星降格のきっかけになった、
「第10惑星=2003UB313」
は、国際天文学連合(IAU)によって、
「エリス」
と名付けられたそうです。「エリス」は、ギリシャ神話に登場する「混沌」と「不和」の女神の名前なんだそうです。と、いうことは「安全地帯」が歌っていた、
「碧い瞳のエリス」(1985年)
って曲は、そういうことだったのか!なるほどー。ついでだけど、「柳ジョージとレイニーウッド」に、
「青い瞳のステラ、1962年夏....」(1980年)
という、よく似た名前の(似てない?)別の曲もあります。 |
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2006/9/20 |
(追記3)
2007年1月10日の読売新聞夕刊の記事によると、アメリカの方言学会は、「2006年の言葉」として「プルート」(=冥王星)を選出したそうです。
「プルート」は、冥王星が去年、従来の「惑星」から「矮(わい)惑星(=仮称)」に格下げされたことから、
「降格させる」
という意味の動詞として使われ始めているのだそうです。へえー。
このアメリカ方言学会は16年前から「今年の言葉」を選んでおり、1999年にはコンピューターの200年問題を意味した「Y2K」、2002年には「大量破壊兵器」が選ばれたと、ワシントンの増満浩志記者が伝えています。アメリカ版「新語・流行語大賞」のようなものでしょうかね。
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2007/1/10 |