◆ことばの話740「スイカは野菜か?」
夜勤の日は夕方4時出社なので、昼はのんびりテレビなんぞを見ています。久々に「笑っていいとも」を見ていると、「スイカは果物か?それとも野菜か?」というテーマに関して、出演者が二つに分かれて討論をしてどちらかに決めるという、ディベート風のコーナーがありました。「果物派」と「野菜派」それぞれに分かれたのですが、「二つ」と言っているにも関わらず、タモリさんは、
「スイカは果物でもなく野菜でもなく、果菜類(かさいるい)なんだよ」
と言って、一人、どちらの側にも属さずに真ん中に座っておりました。
「果菜類」
なんて、初めて耳にしました。動物でも鳥でもない「こうもり」みたいなものかな。
この結果は、結局ほとんどの出演者がタモリ派について、番組としての結論は、
「スイカは、果菜類」
ということになりました。そのあと会社に出社してからインターネットで「果菜類」というのを検索したところ、なんと5790件も出てきました。スゴイ!また、「スイカは野菜か?」という質問もずいぶん載っていました。答えも載っていました。やっぱりインターネットは便利だなあ。その中から「答え」をご紹介しましょう。
大阪市中央卸売市場によると、行政上の分類としては茎やつるなどの草本性植物を「野菜」と定義し、樹木になるものを「果実」としています。この分類では、スイカやメロン、イチゴも「果実的野菜」として「野菜」とみなされます。一方食生活の面から見れば、副食(おかず)になるものが「野菜」、嗜好品が「果物」と分けるのが一般的です。この分類ではスイカ、メロン、イチゴとも「果物」になります。
また、大阪市中央卸売市場では、野菜と果物の取り引きは別々に行われています。スイカ、メロン、ブドウ、レモンなどは「果物」の方で売買されますが、慣例として野菜の仲卸業者も競りに参加できるようになっています。しかし、イチゴは扱えません。
(読売新聞「もの知り百科」より)
また、別の「消費者の声」というページでは、ズバリ、答えが載っていました。
Q)スイカは野菜か果実か?
A)スイカは「果実的野菜」です。ただし卸売市場等では、果実の部門で取り扱われている場合が多いです。
なーるほど。「果実的野菜」という区分があるのですね。ではタモリさんの言う「果菜類」というのは、「果実的野菜」と同じなのでしょうか?
そこで、もう一度「果菜類」のページを見ると、「果菜類」として上げられているのは、
トマト、ミニトマト、ナス、ピーマン、キュウリ、スイカ、メロン、カボチャ、オクラ
といったもの。ナスやカボチャ・オクラは、完全に野菜やろ、と思うのですが、その中にスイカやメロンも入っていますね。草やら、「実」としてなってるものを「果菜類」と読んでいるようなのです。そこで思い当たりました。レンコンやダイコン・ニンジンなど土の中に出来る、ネッコの野菜を、
「根菜類」
と言いますよね。「果菜類」はこれと同じような分類のひとつではないのか?そう思って調べてみると、やはりそうでした。このほかに、レタスやハクサイ・ホウレンソウといった「葉菜類」というのもありました。Googleでの検索件数は、
(果菜類) 5790件
(葉菜類)
6660件
(根菜類)1万0800件
という結果でした。
結論、「スイカは果実的野菜」である。
ホッとしたでしょ?では、安心してスイカにかぶりついてください。
(P.S.)
私はスイカに塩をつけて食べますが、それを見て「信じられない!」という人が時々います。皆さんは塩をつけて食べるんでしょうか?よろしければ教えてください。
2002/7/26
◆ことばの話739「セレブ」
「セレブ」という言葉が流行っているようです。「セレブレーション」の略で、簡単に一言で言うと「有名人」ということだそうです。「ゴージャス」な叶姉妹のように本職は何をやっているのかわからないけど、何かのパーティーには必ず顔を出しているというような人や、どうして手に入れたのかはわからないけどワールドカップの「日本戦」でカテゴリー1の特等席で観戦しているような人も「セレブ」と呼ばれるようです。
精神科医・香山リカさんの「若者の法則」(岩波新書、2002・4・19)を読んでいると、若者の傾向を分類した「6つの法則」のうちの一つ「『いつかはリスペクトしたい、されたい』の法則」の中で「有名」(172p)という項目がありました。
「将来、何になりたいですか、と若者に質問したところ、『有名になりたい』『ビッグになりたい』という答えが返ってきて、途方に暮れるー。こんな経験をしたことがないだろうか。そんなとき大人はこう思う。『有名、などというのは何かをした結果、ついてくるおまけの価値のようなものだろう。最初から有名になることを目指すなんて、順番が逆だ』」。
そのとおりだよな。
ここでは結局「有名になりたいというのは、注目を浴びたい、いつも自分を見ていてもらいたい」という気持ちの現われだと書いてあります。この「有名」こそ「セレブ」なんでしょうね。香山さんはさらに、
「『有名人が押しかける店』といった雑誌のコピーが貼られていたりする。そういった表現を見ていると、『やはり何をしたかが問題なのではなく、いかに有名かの方が大事なのではないか』と思う若者が現れてもおかしくはないだろう。」
と記しています。
この一文を読んで思い出したのは、スペイン・マドリードのプラサ・マジョールの近くにあるレストランです。名前は忘れましたが、そこはかの文豪・ヘミングウエイがよく訪れたことで有名で、観光案内などにも必ず載っている店です。店の外には、
「ヘミングウエイがよく来た店」
という看板も出ています。私もマドリードに行った時にそこに入ろうかと思ったのですが、随分混んでいたのでやめました。そして、ふとその隣の店に目をむけると、そこにはこんな看板が。
「ヘミングウエイは、決して来なかった店」
うーむ、参った!!思わず頬がゆるんで、私はその店に入ったのでした。
以上、何か参考になりましたでしょうか?
皆さんもスペイン・マドリードに行ったときには、ぜひ訪ねてみてください、「ヘミングウエイは決して行かなかった」というその店を!
2002/7/15
(追記)
以前読んだ、南伸坊十朝日新聞学芸部「イマドキ現代用語50」(朝日新聞社・2002・3・1)の中に「セレブ」が載っていました。1999年11月13日、朝日新聞連載中のものです。それによると、「セレブ」はセレブリティの略語でファッション誌、情報誌、映画のタイトルにまで当時はあふれていたようで、
「セレブ」の代表は「故・ダイアナ妃」
だそうです。また、『作家の林真理子さんは「セレブリティといって浮かぶのは依然パリ・コレで見かけたマダム・ピカソ。ピカソのお嬢さんということだけで注目を一身に集めていた。セレブって本業はよくわからないけどパーティーによく顔を出している人のこと」と定義。それは「お城に行く前のシンデレラ」の感覚だと指摘』しています。
2002/7/22
(追記2)
先日、阪神電車から上がってくる階段のポスターにこう書かれていました。
「ショッピングしてあなたもセレブリティ。」
そんなに簡単になれるかい!安っぽい「セレブ」ですねえ・・・案外、そんなものかも。
2007/12/17
◆ことばの話738「ドッキング」
夏休みに入った7月20日土曜日・海の日。大阪名物の水族館「海遊館」の隣にある商業施設「天保山マーケットプレイス」に、新名所が登場しました。その名も「なにわ食いしんぼ横丁」!!
昭和40年代の大阪の町並みを再現した迷路のような通路を進むとお店がズラリ。これまでチェーン展開を頑なに拒んできた関西の有名なお店や老舗洋食レストランが、ここに第二号店、つまり初めての支店を開いたのです。混ぜカレーの「自由軒」や、オムライスの「北極星」など、一度は行ってみたいお店ばかり。
そのニュースのナレーションを読んでいると、最後にこんなフレーズが出てきました。
「テーマパークの楽しさとホンモノの関西グルメがドッキング。元気な大阪新名所となりそうです。」
おお、「ドッキング」!!
久しぶりにこの言葉と対面しました。子どもの頃はよく「ドッキング」って聞いたけれど、最近は耳にしないなあ。“子どもの頃”と言うのは30年ぐらい前、やはりアポロ11号が月面着陸をした1969年から、1975年くらいまでかな。「スカイラブ」とか、宇宙開発にまつわる言葉が流行語になりましたよね。当時のマンガなどに出て来る「マジンガーZ」も「サンダーバード」もよく「ドッキング」してました。
「ドッキング」も当時はちっとも意識しなかったけど、こうやって目にしてみると、これも流行語の一つであったということに気づきました。最近「ドッキング」は、ホントにみかけないなあ。
レトロな昭和40年代(その時代を「レトロ」と言ってしまっていいかどうかには少し疑問もありますが。レトロというと明治時代、大正時代、せいぜい昭和30年代、マンガ「三丁目の夕日」の舞台くらい)を再現したこの「なにわ食いしんぼ横丁」には、この「ドッキング」という言葉は「ぴったり」だと思いました。
2002/7//22
◆ことばの話737「テーハミングック」
もうワールドカップが終わって3週間以上・・・なんだか死んだ子の年を数えるような・・・・。
まだ、ワールドカップ中に気づいたいろいろなこと、ネタとしてタイトルだけ決めておいて書けたいないのがいくつかあるんです。そのうちの一つが、タイトルの「テーハミングック」です。これは言わずと知れた、韓国のサポーターが応援の時にかける掛け声。「大韓民国」という意味です。
今回のワールドカップでは、スポーツナショナリズムと言うかスポーツ愛国心と言うか、何の恥じらいもなく自分の国の名前を叫べるという機会が数多くありました。もちろん、日本に限らずどの国のサポーターもそうでしょう。私はそこに「お国柄」が現れているように感じたのです。それは自分の国の名を叫ぶ時の「リズム」です。
「テーハミングッ(ク)」は「ターアタ、タンタン」という4拍子。「付点四分音符、八分音符、四分音符、四分音符」というリズムです。
日本はどうか。
「チャン・チャン・チャチャチャン、チャチャチャチャ(ウッ)ニッポン」で「タン・タン・タタタン、タタタタ、ウッ、ニッ、ポン」という2拍子。「四分音符、四分音符、八分音符、八分音符、四分音符、八分音符、八分音符、八分音符、八分音符、八分休符、八分音符、八分音符、八分休符」という形。
私が観戦したチームではこのほか、
「ブラジル」は「ブー・ラー・ジル」→「タン・タン・タン」と四分音符3つ。 「イタリア」は「イー・ター・リャ」→「タン・タン・タン」と四分音符3つ。
「スウェーデン」が「スー・ウェー・デン」→「タン・タン・タン」と四分音符3つ。 「メキシコ」が「メー・ヒー・コ」→「タン・タン・タン」と四分音符3つ。
という具合に、3拍子の国が多かったように感じました。 もし、日本人がブラジルやイタリアを応援したら、きっと「ブー・ラー・ジー・ルッ」、「イー・ター・リー・アー!」と4拍子になったのではないでしょうかね?
そんな中で日本や韓国と同じように「2拍子系の応援」をしている国を見つけました。それはどいつですか?ドイツです。(なぜこのワープロは「どいつ」を変換したときに1回で「ドイツ」にならないんだろうか。頭、悪いんとちゃう?おかげでつまらないシャレを書いてしまった・・・・。)
「ドイツ」は「ドイッチェランド」を「ドイッ・チェ・ラン(ド)」を「タッ・カ・タン」という「付点八分音符、十六分音符、四分音符」という感じで応援していたのです。「ゲルマン魂」は「武士道」に通じるのか?なーんてね。
ワールドカップではそれぞれの国の代表チームを、一つのステレオタイプにはめ込んでしまいがちですが、確かにそうしたステレオタイプの傾向は見受けられるんですよね。不思議ですねー。
(おまけ) 柳沢選手の声援のリズムは、 「ヤナーギサーワー」=「タ・ターン・タ・ター・ター」=「八分音符・四分音符・八分音符・四分音符・四分音符」
でしたが、それを聞いて、あれ?どこかで同じような応援を聞いたな・・・・と思った瞬間に思い出しました。これは元日本代表の高木琢也選手の声援の時の、 「タカーギタクヤ」=「タ・ターン・タ・タタ・ター」=「八分音符・四分音符・八分音符・八分音符・八分音符・四分音符」
と、リズムも音程も、ほぼ同じでした。同じポジション(フォワード)の選手には「同じ曲」が伝統的に引き継がれるのでしょうか?いや、と言うより、「やなぎさわ」と「たかぎたくや」の拍数が同じ5拍なので、使い回しているのではないか、と感じました。でも今、柳沢選手を応援している人たちの大半は、カタール・ドーハの時にはまだサッカー知らなかったんじゃないのかなあ。時の流れは早いなあ。
2002/7/23
◆ことばの話736「中国製ダイエット用健康食品」
「中国製ダイエット用健康食品」が波紋を広げています。7月20日現在、これらの「食品」を服用して、全国で4人の方が亡くなっていることがわかっています。疑問に思うのは、この問題の「ブツ」は、どう考えても「健康食品」ではないということです。「不健康食品」あるいは「非健康食品」と呼んでもいいのではないでしょうか。そこで、各新聞がどう表記しているか調べてみました。(各紙、大阪版)まず、7月19日(金)の各朝刊の見出しの表記とリード部分での表記です。
<7月19日> <見出し> <リード>
(読売)ダイエット2食品 /中国製ダイエット食品
(朝日)やせ薬 /中国製の『やせ薬』:中国製のダイエット食品
(毎日)中国製健康食品 /中国製ダイエット用健康食品
(産経)中国製ダイエット食品 /中国製ダイエット用健康食品
(日経)健康食品 /中国製ダイエット用健康食品
リードでは、5社中3社(毎日・産経・日経)が「中国製ダイエット用健康食品」を使っています。続いて翌日。
<7月20日> <見出し> <リード>
(読売)中国製『やせ薬』 /中国製ダイエット食品
(朝日)やせ薬 /中国製の『やせ薬』
(毎日)中国製ダイエット食品 /中国製ダイエット食品
(産経)中国製健康食品 /中国製のダイエット用健康食品
(日経)中国製ダイエット食品 /中国製ダイエット食品
ということで、1日経っただけで、表現が各社微妙に変化しています。
7月19日には見出しとリードで5個所使っていた「健康」の二文字が、翌20日には2個所に減っています。見出しでもリードでも使っているのは産経新聞だけです。やはりこれだけ「健康被害」を出しているのに「健康食品」はおかしいと各社、気付き始めたようです。
また朝日が使っている「やせ薬」という表現を読売も使い始めました。
テレビ各社はどうか?まだチェックしていませんが、読売テレビでは「健康」の二文字を使わなくなったと、報道の今日の泊りデスクは話していました。
2002/7/21
(追記)
テレビ・通信各社の用語担当者に質問したところ、パラパラと返事が返ってきました。
(フジテレビ)中国製ダイエット食品(に統一している)
(テレビ朝日)中国製(の)ダイエット食品
(で、ほぼ固まっている)
(朝日放送)中国製ダイエット食品
(用語委員M氏の担当するラジオ番組では統一)
(共同通信)中国製ダイエット食品(7月19日付けで統一)
(読売テレビ)中国製ダイエット食品
7月22日(月)午後3時現在は、こんなところです。
ただ、7月20日のお昼のニュースで見た時は、テレビ朝日さんは、ナレーションは「中国製ダイエット食品」でしたが、字幕スーパーは、
「やせ薬」(カギカッコつき)でした。
2002/7/22
(追記2)
新聞各社、その後の情報です。
7月21日(日)(見出し) (リード)
(読売) 「やせ薬」 中国製ダイエット食品
(朝日) やせ薬製品 中国製「やせ薬」
(毎日) 中国製ダイエット食品 中国製ダイエット食品
(産経) 中国製健康食品 中国製ダイエット食品
(日経) 中国製ダイエット食品 中国製のダイエット食品
どうやら各社、基本は「中国製ダイエット食品」で固まってきたようですね。そんな中、頑なに「健康」を守って(?)いるのが産経新聞。今度、理由を聞いてみましょう。
また、放送各社のインターネットのニュース画面を見てみると、
(NHK)7月19日(見出し)“健康食品”被害152人
(本文)中国製のダイエット用健康食品
(読売テレビ)7月22日・中国製のダイエット食品
(関西テレビ)7月19日・中国製ダイエット食品
でした。他社はこの記事が見当たりませんでした。
このほか、厚生労働省のホームぺージで「報道発表資料」を見てみると、7月20日発表で7月22日(今日)ホームぺージにアップした項目に、
「中国産ダイエット食品による健康被害事例」
とありました。「中国製」ではなく、「中国産」という言葉を使っています。
そして分類としては、
1)「御芝堂減肥こう嚢(おんしどうげんぴこうのう)」=「こう」は月交(にくづきに交)及び「せん之素こう嚢(せんのもとこうのう)」=「せん」は糸千(いとへんに千、の2製品による肝機能障害、甲状腺障害といった健康被害は、31都府県93人、うち死者が3人
2)その他の「未承認医薬品」による健康被害は9人
3)「健康食品」による健康被害は、11都府県22人、うち死者1人
というふうになっています。ということは、1)と2)は未承認だけど「医薬品」、3)は「健康食品」という考え方なのでしょう。
2002/7/22
(追記3)
7月23日、日本テレビ・お昼の「ニュース・ダッシュ」は、読み、スーパーともに、
「中国製ダイエット食品」
でした。また、NHKのお昼のニュースでは、ナレーション、スーパーともに
「中国製のダイエット用健康食品」
と読んでいました。また、フジテレビの朝のワイドショーではスポーツ新聞の記事を紹介する形で、
「中国やせ薬」
という表記も使っていました。
2002/7/23
(追記4)
最後まで「健康」の文字を使っていた産経新聞も7月24日の朝刊から、
「中国製のダイエット食品」
と、「健康」の字が抜けました。前日7月23日の夕刊ではまだ
「中国製健康食品」
という見出しを使っていて、本文では、
「中国製ダイエット食品」
でした。7月25日には見出しでも、
「中国製ダイエット食品」
となっていました。
2002/7/25
(追記5)
ところがところが、今日(7月26日)の朝刊では、産経新聞の見出しは、またもや
「中国製健康食品」
になっていたのです!「健康」復活!!本文は「中国製のダイエット食品」でしたが。やはり新聞の見出しでは、出来るだけ字数を少なくするために「健康」の2文字を「ダイエット」の5文字の代わりに使わざるを得ないのでしょうかね。7月23日に逆戻りです。そのあたりどうなんでしょうか?
2002/7/26
(追記6)
産経新聞のSさんからメールで、「見出しは、やはり字数の関係で、『中国製健康食品』をまだ使っている」という事情を教えていただきました。「ダイエット」の5文字を「ダイエット」させると「健康」の2文字になるということですね。
2002/8/3
(追記7)
大阪府健康福祉部薬務課が今日(8月5日)出した文書によりますと、食欲抑制剤のフェンフルラミンが入った「やせ薬」のことを、
「中国製痩身健康食品」
と称しているようです。「ダイエット」を漢字で「痩身」(そうしん)ですか。まあ、中国製だから、漢字なのかも。
2002/8/5
(追記8)
8月2日の朝日新聞「opinion◎news project」「記者は考える」というコラムのコーナーで「『薬』と『健康食品』の深い溝」という記事をくらし編集部の稲石俊章さんという記者が書いています。そこには、厚生労働省の記者クラブで毎晩配られる中国製「やせ薬」による健康被害の集計表が、いつも「医薬品」と「健康食品」に分かれていること。そしてそれは、省庁再編前は医薬品部門と食品部門が別の部局にあったものを、医薬局内に一本化したものの、長年の確執は解消されておらず、お互い今回の「やせ薬」を「相手の部の担当」と押し付け合っている間に被害が国内に広がった、と書かれています。
こういった「健康食品」は、2000年に規制緩和を受けて、それまでは医薬品にしか許されなかった「カプセルや錠剤」といった形態を食品にも認められたことによって、よけい「薬なのか食品なのか」の線引きが曖昧になっています。
医薬品部門管轄の都道府県の薬事監視員は約3500人、食品部門の所管する食品衛生監視員は約7000人。人員には限りがあります。また、被害報告はあってもまだ商品名が公表されていない健康食品は70品目を超えるそうです。
部の壁を越えて取り組んでいただく必要があるのは、誰もが疑わないところでしょう。
2002/8/9
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