全部で504ページ!もの分厚さ。2月か3月に買って、ようやく読み終わった。
この大阪を舞台にした物語のキーワードは、実は「ジャージ」だと思った。
「ジャージについた糸くずを手でつまんだ。」(58ページ)
「上下ジャージ姿の大輔」
「ジャージで授業を受けるように」
「大輔はジャージがあまり好きじゃない」(以上、66ページ)
「明日からジャージで登校することを」(74ページ)
「今日からジャージで学校に来るっていう約束」(75ページ)
「正面からジャージ姿の男子生徒が向かってくるのが見えた」(96ページ)
「大輔はジャージ姿で登校した」(138ページ)
「ジョギングに励むジャージ姿の少女らの列とすれ違う」(173ページ)
「Tシャツの上に、ジャージを羽織り」(310ページ)
「このジャージ姿に坊主頭という無様極まりない格好だった」(311ページ)
「大輔のジャージの肩口がびくりと反応した」(318ページ)
「あと一人ジャージを着た男子がいたが」(337ページ)
「いつの間にか、ジャージ姿の鳥居が」(339ページ)
「スーツに、ジャージ、作業着、店の制服、ありふれた私服ーー年齢も出で立ちも、まさに千差万別である」(393ページ)
「『鳥居さん、ジャージ』」
「鳥居はその場でジャージを脱ぐと、旭に手渡した」(以上、466ページ)
「『しかし真田、ジャージはどうしたんや』」(482ページ)
「スーツでびしっと決めた昨日の姿と異なり、何せ上下ともにジャージである」(486ページ)
「受け取った中身をのぞくと、鳥居に貸していたジャージだった」(278ページ)
というふうに、なんと「ジャージ」が20回も出てくるのだ。これが主人公でしょ?
そのほか気になった表現は、大阪弁の「なおす」(片付けるの意味。97ページ)を取り上げたり、「顔面どストライクや」(131ページ)という「ど付き言葉」、「朝食はいつも同じメニュー。(中略)テレビは『おはよう朝日です』を観る。」(373ページ)「よみうりテレビは、情報番組がのんびり芸能ゴシップを扱い」(388ページ)と、地元のテレビ局も出てくる。大阪入門書とも言える小説である。でもジュブナイルだな。一連の万城目の作品と同じく青春物。舞台が奈良、京都、大阪と北から、次は神戸?滋賀?和歌山だろうか?
そのほか気になった表現は、「極めつけの運動音痴」(59ページ:「極め付き」じゃないんだ)、「幾本もの太い川」「標語を記した垂れ幕が、幾本も帯となって下がっている」(以上、174ページ:「条」ではなく助数詞は「本」)、「辰野金吾は大正8年、スペイン風邪に罹患し死去。(290ページ:スペイン風邪は大正8年でしたか。辰野金吾はそれで死んだのか。)「梨の礫」(290ページ;漢字で「梨」と書くんですね)、「乳兄弟(ちきょうだい)と会わせたときの反応から」(278ページ:やはり「ち」と読みますな)
といったところでした。小説読んでも、こういったところが気になる。内容が頭に入っているのかと言うと、結構入っていますよ。
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