著者が『チームバチスタの栄光』を書くときにモデルとしたのが、本書で取り上げた外科医・須磨久善だという。『チームバチスタ〜』の映画化にあたって「監修」も引き受けてもらったそうだ。ふーん、凄い先生が、日本にもいるもんだ。本書は著者初のノンフィクション。「バチスタ手術」が、現在では「最先端の手術」というのではなく、世界的にはあまり行われていない手術だということを、初めて知った。また、脳死(心臓)移植がなかなか進まない日本だからこそ、その「バチスタ手術」の価値が高いのだ、とも。
須磨は、最初から心臓外科医の研修医にならずに、まずは普通の外科医になったことで、それまでの心臓外科医では思いもよらない“胃の動脈を使った心臓バイパス手術”を開発するなど、“コロンブスの卵”的に、日本や心臓外科の枠にとらわれずに、まさに世界を股にかけて活躍してきた。広い世界に眼を向けることがある意味での“専門バカ”にならずに、新しい視点を持ってその世界を開いていくことが出来るんだな、ということを改めて感じた。
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