タイトルを見たとたんに「買いだ!」と。しかもこれは、
「脳死・臓器移植に反対の書だ」
と直感。すぐに購入。真ん中あたりでやはり「脳死・臓器移植」の話も出てきたが、「反対」ということではなくて「疑問を呈する」というスタンスのようだった。
話の転換、流れ、むずかしく気取ってるけど、おもしろい。豊富な知識に裏打ちされた“発想の豊かさ”には脱帽。たとえば、「魚に網膜の奥に反射板があるが、人間にもあってわずかに光を発しているのではないか?それが“視線を感じる”ということではないか?」というところは「ふーーん!すごいっ!!」という感じがした。
後半は、サスペンスのようでまたおもしろいし、各章が実は関連しあっていて、伏線が至る所にある。この本の構成そのものが「世界は分けても分からない」を体現している。しかし「分けても分からない」と言いつつ、「世界は、分けなくては分からない」とも。「分ける」という行為こそが「科学」であり、それを“完全否定”するものではない。しかしそれが全てでもない。「バランス」の上に成り立っているのである。
「マップラバー」と「マップヘイター」の話もおもしろかった。講談社の『本』8月号では、この本に関して著者・福岡伸一が作家の高橋源一郎さんと「科学と文学のあいだ」というタイトルで対談している。本書が「講談社現代新書」の第2000号、「キリ番」である。
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