重松清と茂木健一郎。年齢と体型の似た二人の対談集。「泣ける小説」の書き手の代表として重松が選ばれたらしいが、重松自身は「泣ける」「泣けた」ということに疑問を持っている、と書いてある。そうでなくっちゃ。そんなに簡単に「泣く」ことを扱ってもらっちゃ困る。対談は、結構観念的で難しいお話も多いが、要は、重松のこの発言に集約されると私は思った。
『僕は「涙は談合」だと思っている。この談合が共同体の「笑いは安心」と共通で伝播するのならば、いま、皆が流している涙は、「悲しくて泣いているのではない」感じがするのね。悲しいから泣くのではなくて、「優しさの談合」というか』
重松が意外と屈折した、人見知りをするような人だというのは意外だった。
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