日本の旧統治領であった台湾、ミクロネシア(南洋群島)、韓国、サハリン、中国東北部(旧満州)などには、日本が撤退してから60年以上が経っても、日本語との接触の名残がある。それらを訪ね歩き、そういった言葉を採取するフィールドワークを続ける著者が、その記録の一端を本書にまとめた。
専門書ではあるが、そこここに、一般の人が読んでも「へえー、そうだったのか!」という記述がある。たとえば、戦前の記述に「台湾内地人に『きれいく』『きれいくない』というような形容詞として活用させた誤用が使われていて、方言的地位まで得ようとしている」(1941)と紹介されているが、これは最近の若者言葉と同じ傾向である。また、朝鮮半島における日本語話者の語尾に「〜でしょ」と付くのは、初対面の人に「〜じゃないですか」「〜やんかあ」という近年の若者言葉と同じ傾向だということなどは、新鮮な驚きでした。つまり、最近の若者言葉は昔の植民地並みなのです。これには愕然としました。
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