著者は1968年生まれ。『サッカーダイジェスト』の編集者を経て、30歳でフリーのスポーツライターに。共著の『敗因と』を読んだことがある。
最近、光文社新書は、サッカーの専門的なものをよく出す。今年に入ってからも、
『サッカーとイタリア人』
が出てるし、去年も、
『4ー2ー3ー1〜サッカーを戦術から理解する』
など、単なる表面的なサッカーファンを対象にしたのではない本を続々出していて、興味深い。この本では、日本人には欠けていると言われる「マリーシア」の正体について、マリーシアを持ったブラジル人選手たちへのインタビューで紐解いてゆく。
日本では「ずるがしこさ」と訳されることが多いが、本当の「マリーシア」とは、そうではない、「駆け引きの巧みさ」を指すのだ。いわゆる「ずるがしこい」プレーのことは、「マランダラージ」と呼ばれるそうだ。
「マリーシア」の、というか「マランダラージ」の代表的な国は、アルゼンチンだそうだ。1986年の「メキシコワールドカップ」における、有名な「マラドーナの神の手」も、「マリーシア」なのだろう。「マリーシア」は「インテリジェンス」であり「クリエイティブ」なのだ!
1月29日の日経新聞のスポーツ欄の、プロ野球評論家・豊田泰光さんのコラム「チェンジアップ」で、豊田さんは「文化守ってこその国際化」と、大相撲やメジャーリーグを俎上に乗せているが、たしかにそのとおり。サッカーにおいては、「日本風のマリーシア」を、選手皆が身につけていけば、昨日(1月29日)のアジアカップ予選でバーレーンに零敗を喫したような不様なことは、繰り返さなくていいと思うのだが…。
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