おもしろくて一気に読んだ。2009年の正月休みは“小説三昧”、といった感じで収穫。奥田英朗(おくだひでお)さんは1959年生まれ。2004年、『空中ブランコ』で第131回直木賞受賞。これまでに私が読んだことがあるのは『イン・ザ・プール』ぐらいだったが、ここまで緻密に構成されているのは、すごい。高村 薫よりは軽いので読みやすい。松本清張にも「時代的背景」が、つまり「空気」が似てる。賭場のシーンは五木寛之『青春の門』を思い出した。
言葉のことで目に留まったことをメモとして。
*秋田・熊沢村の方言で、こまい。「村長なんて、こまい、こまい。国会議員になって、村にも鉄道をひいてけれ」(63ページ)→「こまい」は関西方言かと思っていましたが、全国にあるようですね。
*「檄を飛ばした」(67ページ)、
「今日は久し振りに課長の玉利が顔を見せ、檄を飛ばした。『土日は在宅者も多いので、聞き込みは念入りに行ってもらいたい。(以下略)』」→この意味での「檄を飛ばした」は、やはり定着しているとみるべきか?
*「一ノ橋ジャンクション」(115ページ)?一ツ橋では?霞が関口から首都高に入って、東京タワーを左手に眺めながら。
*「オイチョかぶのオイチョは8。」=スペイン語の「オーチョ」か?「カブ」が「9」。
*「体操用のジャージを着せる」(285ページ)とあるが、時代的には“ジャージー”と語尾をのばす表記では?同じページに「ここの独身寮へ行ってジャージとズック靴を調達してこい」とも。
*「朝食を済ませたあと、飯場で午後十時まで二度寝した。」(290ページ)とあるが、これは“午前”十時の間違いでは?
*「誰が聞いたって鬼嫁かと思うべさ」→このころにはもう“鬼嫁”という言葉はあったのか?(226ページ)
*【レヴィ・ストロースの構造主義】=耳にしたことはある、程度
*東大経済学部の浜野教授「何より国家権力は若い頃から嫌いだ。」(197ページ)と言っているが、「なぜそんな人が、国家権力養成機関とも言える(官僚養成の為の)国立大学の最高学府の教授を務めているのか??」矛盾してないか?不思議。
*「ほとんど引っ越しのような規模で、島田の持ち物の大半が運びだされた。」(389ページ)島田?島崎ではないのか?
なんだか「校閲担当」のような読み方をしてしまいました。
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