友人Y君に、年末の忘年会で「この本は新人が書いたものだけどすごい!ふだんは文庫本になったものを買って読むが、これは単行本で買って読んで損はない」と勧められて大晦日に購入。読み出したらこれは確かにすごい!重いテーマを、最初に犯人をバラしながらも、その心理を登場人物それぞれの告白によってあかしていく。微妙にずれる心理は、ある意味、メディアリテラシーの教科書になりうる。つまり、事実と真実は違う。いろいろな角度からの事実のジグソーパズルをはめ込んでいくことで真実は形をあらわす。どこに光を当てるかで、浮かび上がる像は変わる、ということ。それと、基本、一人しゃべりの告白の形式は、最初、戸惑ったが、よく考えたら、芥川龍之介の『藪の中』と同じ形であることに気付いた。ということは、黒沢 明が『藪の中』から『羅生門』を撮ったように、この『告白』から映画かドラマができる、よね?タイトルはどうしよう?『羅生門』のように場所を持ってくるなら『プール』でしょうか?
なお、著者は武庫川女子大学卒。ペンネームの「湊」は、神戸出身だからか? |
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