この間、女子ソフトボールの宇津木妙子監督の本を読んだが、本書はあの水泳・平泳ぎ金メダリスト・北島康介のコーチが書いたもの。宇津木監督との対比でもおもしろい。
「あるべき姿」を目指して、血のにじむ努力を続ける宇都木監督に対して、平井コーチはスマート。それぞれの選手に応じた教え方をしているように思える。それは「団体競技」と「個人競技」という違いも当然、関係してくると思う。個人の能力を伸ばす教育と、人間関係・コミュニケーション能力を伸ばす教育。その両方が必要なのだろうなと思った。
ちょうどきのう、「メディアフォーラム2008」というシンポジウムでコーディネーターを務めたのだが、その席でパネリストの映画監督・阪本順治さんが、
「映画のスタッフは、下は17,8歳から81歳までいる。そのみんなの調整を取りながら作り上げるのが、監督の仕事」
とおっしゃったことや、同じくパネリストの、演出家で俳優のわかぎゑふさんに、「平井コーチの本を読んでいる」という話をして、「演出家って、コーチと似てますか?」と聞いたら、
「一緒です」
と即答されたので、「こういったコーチングは、普遍的な意味合いを持っているのだな」と改めて思った。まあ、だからこそ本になって、みんなが買って読むのだが。
本書で、気に留まった言葉を書き出してみると、
「指導者は謙虚な心を持て」
「攻めのコーチングと待ちのコーチング」
「伸びる選手とは周りが伸ばそうとしてくれる選手」
「簡単にすぐ伸びるのが才能ではない」
「まず短所に目をつぶる」
「ピンチをチャンスに変える」
「ポジティブシンキングで行け=『もし負けたらどうしよう?負けないようにするにはどうしよう?』ではなく『どうしたら勝てるか?勝つために何ができるか?』」
「常識とか固定観念を突き崩す勇気も必要」
「成功をパターン化するな」
できそうで、なかなかできないことばかりだ・・・。 |
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