新聞の書評欄で見つけて購入。著者の吉田修一という人は知らなかったが、奥付を読むと1968年長崎生まれ、1997年に文学界新人賞、2002年に山本周五郎賞、芥川賞、2007年に大仏次郎賞、毎日出版文化賞と、そうそうたる受賞経歴。犯罪文学という純文学の世界の人らしい。本の装丁はシンプルでなかなかよい。
舞台はタイ・バンコク。冒頭のシーンが、いま反政府市民グループが占拠して閉鎖されているスワンナプーム国際空港だったので「おおっ!」と思った。
普通の人が、犯罪に手を染める、そのわずかな境界線を越えて、どう転落していくのか。塀の上から今まさに落ちようとしている中年公務員男を描いた作品。昔はこういった感じの本をよく読んだ気がするが、最近はあまり手に取らなかった。久々にこの手の純文学を読んだ。 |
|
|