前作、というか、私が直前に読んだ本の感想にも書いたが、本書ではより如実に著者の主張が前面(全面)に押し出されて来た気がする。つまり現在の医療をめぐる状況、特に医療行政の崩壊と、その再建策について、小説の形を借りて“医師”である著者は訴えている、そういう気がする。
あまりそれが出すぎると、小説としてはおもしろくなくなると思うのだが、それを“糖衣錠”のように甘く包んで、おいしく・おもしろく書いているのはさすがだ。
ただ、新聞記事の文面は、あまりにも現実の記事のフォーマットからかけ離れていて、ウソくさい気がした。 |
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