戦後の昭和切手を追ってきたシリーズ第6集。サブタイトルは「切手がアートだった頃」。過去形です。著者の内藤さんより送っていただきました。ありがとうございます。読むのが遅くなってすみません。
ここまで読んできて、あ、これは切手を通じた昭和史だと改めて気付き、著者・内藤さんの歴史家としてのスタート地点が切手にあるということも、改めて確認した次第。
1979〜1985年の切手を紹介しているが、私はこの頃はもう、積極的には切手を集めていなかった。ただ、たぶん探せば、当時の切手が出てくるはず。おそらく1979年のまでは、初日カバーも含めてあると思う。
久野 実、渡辺三郎という名前が再三再四、切手のデザイン者として登場するのが目に留まった。
童謡切手、なつかしいなとか、プロ野球50年切手の背景にはそんなことがとか、切手のみならず、時代が浮かび上がるおもしろさが本書にはある!たとえば、省エネルギー運動の始まりは1973年10月の第一次石油危機、田中角栄内閣の時に始まり。1976年3月、経済企画庁と「資源とエネルギーを大切にする運動」本部が、2月1日を省エネルギーの日と制定、翌年から大規模なキャンペーン。第二次石油危機が1979年2月のイラン・イスラム革命に端を発する。そして「省エネキャンペーンの記念切手」は1981年8月に発行されたとか、1981年9月に「国際障害者年」の記念切手が出たが、1971年の段階では「精神薄弱者の権利宣言」と、「精神薄弱者」という表現がまだ堂々と使われていたとか、「日本列島クリーン運動」の記念切手が1983年6月に、「小さな親切運動本部」の創立20周年で発行されたとか、元来「日本列島クリーン“作戦”」だったが“作戦”が軍事用語で国民生活に溶け込んでいないと郵政省は判断して"運動"に変更したとか、とにかく「へえー」が満載の本である。歴史は、「小さな事実の積み重ね」である。 |
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