ヘッダー Space 『四国八十八カ所・わたしの遍路旅』
(石川文洋・岩波新書)
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たんなる西国八十八カ所めぐりの本なら(まだそういう心境になれないので)買わなかったが、著者がカメラマンの石川文洋さんで、中をチラッと読んで見ると、ベトナム戦争で亡くなった知人・友人のカメラマンを弔いながらの遍路であること、また石川さん本人も、4回に分けての遍路の3回目が終わったところで心臓の病で倒れて、生死の淵をさまよった(一度、心臓が停まった)ということも知って、俄然、読んでみたくなった。
読んでよかった。淡々とした記述の中に、戦場と現状の“似て非なる”そして実は似ている人間の営み、“生”とは何かを考えさせられる静かな筆致であった。
たまたま読み終えた翌日に会社の食堂で、元マニラ特派員のT君と一緒になった。彼はその手に、とんでもなく分厚い(おそらく1000ページはあろうかという)文庫本を持っていたので、「何の本?」と聞くと、
「石川(文洋)さんの本ですわ」
と言うではないですか!昔出た写真集なのだそうです。
「いやぁ奇遇だなあ、実は昨日、石川さんが四国お遍路した本を読み終わったばかりでさ」 と言うと、
「へえー、そうですか」
彼はそちらの本については知らなかったようだが、一度だけカンボジアで石川さんにお会いしたことがあるんだそうです。世の中広いようで狭いですね。いろんな意味で、合掌。

★★★

(2008、10、25読了)
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