ヘッダー Space『検索バカ』
(藤原智美、朝日新書:2008、10、30)
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著者・藤原智美といえば、数年前『暴走老人』が話題になった。作家でありながらノンフィクションと言うか、世相を斬るような作品を書いている。今回は「検索」。「バカ」と言い切るタイトルは、養老先生の『バカの壁』頃からの「バカ」の洪水と、最近の「おバカ」タレントの大人気でちょっとショックは薄れたけど、言い切りの形で「バカ」と言うのを見ると「ナニッ!」と、気持ちが向かうところがある。やはり危険な言葉だ。
著者は便利なコンピューターでの「検索」が当たり前になっている現代は、「空気を読む」社会と「同じ根っこがある」と説きます。「空気を読む」は、他でもなく「周囲に同調する」「自分の意見を抑える」「自分を殺す」ことであることを喝破します。「全体の指向」=「みんなの指向」=「クウキ」のオソロシサ。クウキのオソロシサと欺瞞を十分にわかっているはずの私も、もしかしたら「検索バカ」になりかかっているかもしれない。コワイ時代なのだ。

★★★

(2008、10、16読了)
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