著者は高校教師退職後に、アイヌの研究を始めた。早稲田大学語学研究所で、4年間アイヌ語講座を受講。すごい意欲ですねえ。
暑い夏は、せめては涼しい北海道の関連の本を読んで、涼しい気分に・・・には、なれなかったな。とっても勉強にはなったけど。たとえば・・・
*アイヌ語の古語で「キロロアン」は「おもしろい」。「帯広川」は「オペレペレケプ」(レ、プは小文字)。「オ」は「尻・陰部」。「ペレペレケ」は「いくつにも割けている」。「プ」は「もの=川」。知里真志保『アイヌ語入門』によると「川は古く女性に考えられていた」そうだ。アイヌ語で「娘」は「オペレ」(オは尻・陰部、ペレは割れている)という。確かこれは、田中克彦の本で読んだ気がする。
*アイヌ語は、清音と濁音の区別をしないそうだ。ということは、韓国・朝鮮語と同じだ!「シリ」(リは小文字)は山。ヌプリも山。ニセコアンヌプリは、ニセイが「断崖」、コが「に対して」、アンが「ある」。ペト(トは小文字)は「川」。山なので最後のペトは省略。コは、動詞の一部の接辞で語幹のアンと切り離せないので、アイヌ語の本来の呼び方は「ニセイ・コアンヌプリ」。アイヌ語のクト(トは小文字)には「中空円筒の茎、帯、帯状に岩層の現れている崖」という意味もあり、名寄市の九度山は「クトゥンヌプリ」。「クトゥ(崖)ウン(がある)ヌプリ(山)」あるいは「クトゥ(崖)ヌプリ(山)」と、もとは呼んだという。和歌山の「九度山」も、もしかしたらアイヌ語起源では?
新冠(ニイカッブ)は、ニ(木)カプ(プは小文字、皮)。ポロは大きい。
*アイヌ語で「チリリ」(二つ目のリは小文字)はチョロチョロ流れる。
スペイン語も同じだ!擬音語が動詞になった例!
*カムイは神、コタンは村。ポロは小さい。
*アイヌ語で「ペト(トは小文字)」は川。漢字では別をあてることも。登別。「ヌプリ」は山だか、ウ音がオに近いので「のほり」と聞こえ、「登」の漢字であてることも。
*オショロ・忍路。江差追分に「忍路、高島およびもないが、せめて歌棄(うたすつ)、磯谷(いそや)まで」という歌詞がある。
高島は小樽港の西の高島岬で当時小樽の代名詞。その西の余市との中間に竜ケ岬があり、その西側に忍路湾という入り江がある。アイヌ語で「ウシ(入り江)オロ(の所)」シとロは小文字。アイヌ語の母音「ウ」が「オ」に近いため、和人が聞き違えた。
*アイヌ語で「チセ」は家。たしか北海道出身の漫画家・高橋しんの北海道が舞台の作品『最終兵器・彼女』の主人公の名前はチセだったが、もしかしてアイヌ語の家の意味から取ったのか?
*ヨーロッパアルプスで見つかった氷期は四回あり、古い方からギュンツ、ミンデル、リス、ヴュルムと呼ぶ。最後の間氷期は、リス・ヴュルム間氷期という。ヴュルム氷期は10万年続き、1万年前に終わった。氷河のあとが日高山脈に残っているという。ナキウサギは氷河期の生き残り。3〜4万年前に間宮海峡や宗谷海峡が陸化していたヴュルム氷期にシベリアからわたってきた。
*川下から川上へたどるのがアイヌ流。ホロカ(ロは小文字)は「後戻りする」の意味。川上へ上っていくはずの川が、向きを変えて川下の方へ後戻りするように見えるところをいう。アマゾンの逆流「ポロロッカ?」に似た名前。
ね、勉強になったでしょ?
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