6月6日(金)の「ミヤネ屋」のゲストで、アルピニストの野口 健さんが出演してくれた。去年の12月に、読売新聞主催の野口さんの講演会で対談をさせてもらったので、半年振りの再会。元気にご活躍のようで、うれしい。そんなことを考えていて書店に行ったら、たまたま野口さんの本が出ていたので購入。早速読んだ。
これまでの清掃登山の活動の内容やら、富士山を巡っては地元の自治体がそれぞれの主張を持っていてなかなか一筋縄では行かないこと、その辺を「えいやっ!」とやってしまった話、鳥の保護を訴える人たちの話を聞いていて、その流れで居酒屋に行って「焼き鳥でも食いますか」と言ったら、「とんでもない!」と言われた話など、ざっくばらんに語られていておもしろい。
野口さんの清掃登山のスポンサーになってくれている企業は、エネルギー関係など、どちらかと言うと環境によくないことをしているイメージ(温暖化に加担している=大きな企業は、大体そうなのではあるが)のある企業で、純粋な活動家にとっては「敵」にあたるかもしれない。しかし野口さんは、
「きれいごと(理想)を掲げるだけでは、現実は良くなっていかない。そのバランスが大切だ」
と説いている。その通りだろう。
その一方で、6月2日から6月6日まで5回にわたって産経新聞で連載された、野口さんへのインタビュー記事「話の肖像画〜あきらめるのはまだ早い」の中で野口さんは、チベットの現状に関して、
「中国の非人道的行為が繰り返されるなら、最終手段として五輪ボイコットも選択肢に含まれる」
というメッセージを出したことが綴られている。そんなことをすればスポンサーが降りる可能性がもちろんあり、実際1社、スポンサーを降りたそうだ。この発言の前に野口さんは、
「3分の1ぐらい(スポンサーが)降りることを覚悟していた」
と話している。なかなか、そこまでの覚悟は出来ないものだと思う。スポンサーにおもねるのではなく、貫かなくてはいけないところは貫き、それ以外は妥協もするという態度と行動力は、若い(35歳)にも関わらず「すごいな」と思う。
番組出演後に、帰られる野口さんに「御本読ませていただきました」と声をかけると、
「ああ、それ。くだらなかったでしょ」
と照れている野口さんだった。 |