テレビ放送が日本で始まって今年で55年、読売テレビが出来て50年。
企業は30年で、その最初の使命を終えると言われるが、いままさに、日本のテレビ業界は転機を迎えている。
本業は通産官僚で、現在は早稲田の先生をしている著者は、お役所の立場からメディア(放送)行政の今後を取り仕切る立場の人。その人が「テレビ」をどう見ているか、今後日本のテレビはどうあるべきだと考えているかを知ることができる、貴重な一冊(テレビ業界人にとっては)。 パソコンやケータイでテレビ番組を見られる、またテレビでパソコンが出来るという時代に、日本でも既に数年前からなっているが、もちろん1億2000万人すべてがそういうことをしているわけではなし。しかし今後はそういう方向に動くことが容易に想像される。
(それこそ、若い世代は皆そうなのだから。)その時のビジネスモデルや法律が、これまで通り、であるわけはない。デジタル化は、ある意味「免許事業」で独占してきた部分を、他人たちにも分割する、流通手段の分配である。そうなった時に、地上波テレビ局はどうするのか? コンテンツ制作力の強化という掛け声はあるが「ハイ、わかりました」とすぐに出来るものでもない。また著作権の問題も絡んで、先行きは大変不透明である。
この本を読んでも「そうか!」とスッキリ答えがわかるわけではない。かえって問題点が増えたような気がして、頭を抱える日々である。うーむ、ドウナルンダロウ・・・。
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