野村 進さんと言えば、『コリアン世界の旅』で大宅賞を受賞したノンフィクションライター。初めて『コリアン世界の旅』を読んだ時は、沢木耕太郎を読んだ時と同じようなフレッシュな驚きと興奮があった。その後も着実にノンフィクションを書き進めている人。もう中堅、ベテランと言えるだろう。
その野村さんが、後輩たちに「伝えておかないといけない」という思いで残したのが、
「これがプロの『知的生産術』だ!」
と帯に記された、取材の仕方、資料収集、原稿完成までのノウハウ。これが740円(税別)なんて値段で買ってしまっていいの?というぐらいのものだから、みんな買って読むべし!詳細は本書の中で。
でも強いて「肝」の部分として挙げてご紹介するならば、最後の結論の部分でしょうね。これは、私も同じ感想を持ちました。
「人に会い、話を聞き、文章にする。たくさん読み、たくさん観、たくさん聴く。こんなことを繰り返すうち、知らず知らずに自分が豊かになっている。(中略)さらに他者や世の中から受けたものを、ごくごく取るに足りない形であっても、お返しすることができる。思い込みにせよ、それが可能な表現方法を体得している。ノンフィクションの仕事に携わる喜びとは、つまりこういうことではないか。」
同感です。
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