脳科学者でいまや売れっ子の茂木健一郎さんが、実は大変音楽にも造詣が深いことがわかる一冊。茂木さん、一つ年下かぁ。本のサブタイトルは「脳とシューベルト」。タイトルの「すべては音楽から始まる」というごく普通の、格言のようなものに比べると、サブタイトルの方が奇抜で面白いのに。ボクなら「脳とシューベルト」をメインタイトルにするな。
それはさておき、本書で印象に残ったフレーズ。
「経験は成長する」「私の中に楽器がある」「音楽を聴くというのは非常に能動的な行為」
また『モオツァルト』を書いた小林秀雄は、生のオーケストラの演奏を聴いたことがなく、SPレコードでモーツァルトを聞いて書いたというのは驚きの事実だった。また、クラシック好きな著者が、たまたま車の中のカーラジオのFM放送で流れてきた「ちあきなおみ」の曲を聞いて、
「ああ、オレは『ちあきなおみ』で生きていけるな」
と感じたというのも、わかる。私も「ちあきなおみ」は好きだ。ザワワザワワという『さとうきび畑』などは、森山良子よりも、ちあきなおみの歌の方が、絶対良い。なんだかわからないけど、クラシックとか歌謡曲とかそんなジャンルは関係ないと思う。好きなものは好き、感じるものは感じるのである。
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