ヘッダー Space『高校生のためのメディア・リテラシー』
(林 直哉、ちくまプリマー新書:
2007、10、10)
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著者の林 直哉先生は、長野県の高等学校の教師を長年やってきた。そのなかで「放送部」の顧問として、いくつかの高校で「メディアリテラシー」の実践を生徒たちと行ってきた。放送部として作った作品が、これまでに2度「東京ビデオフェスティバル」で大賞を受賞したという。すごい。その2回目の受賞作「漢字テスト」の謎を追った作品を、当時私も見た。漢字の「はねる」「とめる」ということが、採点する先生によって基準が違うが、本当に正しいのはどちらなのか?という疑問を、生徒たちは小学校・中学校・高校のいろんな先生に尋ね、教育委員会に尋ね、ついに文部科学省にまで行ってインタビューした。これはすごかった。すごいと言うか、素朴な疑問を、取材を重ねることで解いていく姿勢、われわれにとっては「調査報道」の手法なのだが、まさにそれだった。当時、ネットに載っていたこの映像のアドレスを社内の人に教えて、
「こういうことを私たちがやらないといけないのだ!」
というふうに言った覚えがある。そしてこれは生徒もすごいが、おそらく指導している先生がすごいのだろうと思っていた。その先生というのが、この本の著者である。メディアリテラシーの実践とは何か、その舞台裏について記された本。(本書は「ちくまプリマー新書」だが)「プリマー」でなくても、コミュニケーションを考える上で最適の本と言えるだろう。


★★★★

(2008、4、20読了)

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