あきらかに終戦の日を意識した出版日だなぁ。でもなかなか良い本でした。
著者は私よりもひとまわりも下で、ベストセラー『世界の日本人ジョーク集』などを著している。現在の世界の紛争地の取材経験も豊富にあるようだが、年齢から言うと、
「『戦争を知らない子どもたち』を知らない子どもたち」
であるが、帝大でのインテリの祖父の知られざる青春、そして従軍。一個人の目を通しての戦争の現実を、死を目前にした祖父に語ってもらったドキュメンタリーと言えよう。戦争の生き証人が少なくなる中で、「物書き」としてのこの行為は、正しい道だと思う。
本の構成は、「2005年のいま」の著者の目から見て書かれている部分と、戦前〜戦中にかけての祖父になりきって書いている部分が交錯する。最初、慣れないと困惑するが、慣れてくると、映像的な手法(カットバック)を使っているので映像として“歴史”が浮かんでくる気がする。
去年の春公開された、鹿児島・知覧の特攻隊員たちを主人公にした映画『俺は、君のためにこそ死ににいく』(脚本・製作総指揮が石原慎太郎・東京都知事ということで、いろんな意味で話題を呼んだ)や、高倉健主演の映画『ホタル』を髣髴させた。 |