ヘッダー Space 『歴史の教師 植村清二』
(植村鞆音、中央公論新社:
2008、2、25)
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ある新聞でこの人のことを「まさに、『教科書を教えるのではなく教科書で教える』の精神の人だ」と書かれていたので、拙著『スープのさめない距離』で取り上げた「教科書を教えるのではなく教科書で教える」という言葉に関係あるなと思って、取り寄せて読んだが、結局、その言葉自体は出てこなかった。残念!
しかし、あの直木三十五の弟で東洋史の大家であった植村清二という人のことを、本書で知ることができてよかった。著者は、植村清二の長男。しかもテレビ東京の社長まで務めた人だった。知らなかったなあ。
そしてこの人のことを知ったということ以上に、父・清二と息子・鞆音の関係が推し量れる後半はジーンときた。帯に、作家・永井路子が、
「これがホントの人間だ。ホントの歴史の先生だ。読めばほのぼのと、ふと涙ぐみたくなる。これがホントの伝記文学だからです。」
と記しているが、その言葉にウソはない。ただ、伝記文学というより「父子の愛情物語」なのではないかなと、私は思う。
(そうそう、小さなことですが、最初の方8ページに、昭和61年の前年のことで「JR」と書かれているが、これは間違いではないか?その時はまだ「国鉄」だと思う。読み始めて2ページ目だったので、ちょっとそんなことが気になって集中できなかったことも記しておきます。)


★★★★

(2008、1、10読了)

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