「今そこにある危機」のようなタイトルだが、タイトルそのまま。でも昔。林望先生からご寄贈いただいた。
リンボー先生が「もっとも愛読する本の一つ」としている『写真で見る日本生活図引』(弘文堂)に載っている写真から、リンボー先生の視点で選んだ30点を、リンボー先生の「ついこの間あった昔」と重ね合わせてコラムを書いたコラボレーション。
『Always三丁目の夕日』以来の昭和30年代ブームの一端に乗ったのかな?とちょっと思ったのだが、たしかに写真は昭和30年代をはさんで20年代から40年代のものだが、雰囲気は全部「下手したら大正時代?」というようなものも含めて、昭和20年代の匂いがした。全部、柳田国男的に民俗学的な興味深さを感じさせる写真だったが、172ページの「羞恥のありどころ」から最後までが特におもしろかった。「郵便屋さん」の後ろ姿の写真なんて、イタリア映画『イル・ポスティーノ』の世界だ。戦後すぐぐらいには、イタリア映画が日本でよく好まれたのは、当時の日本とイタリアが、生活習慣的に似ていたからではないか?という気もした。
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