岩波の本にしては・・・と言うと怒られるかもしれないが、表紙のデザインがシンプルでおしゃれである。それも、この本を買った動機のひとつだ。
著者の名前の「ジャンヌネー」というのはてっきり女性かと思ったら、男性であった・・・外国人の名前はわからない。
グーグルが世界の図書をテキスト化してネット上に載せる方針を打ち出したことに対して、それは文化の多様性を乱すものだという視点で書かれた本書。著者は2002年から2007年春までフランス国立図書館館長を務めていた人物。アメリカ発のこの試みに対して、やはりフランスは敢然と反対の手を挙げる「プライド」を持っているなと感じる。内容は・・・結構、難しかった。訳者の佐々木勉氏(フランス在住で情報通信研究所・客員研究員)が「解題」と題して巻末に説明を書いているものがわかりやすい。その中の次の文章が印象に残った。
『(グーグルによる検索世界の独占によって思考パターンの画一化が進むと)それはヨーロッパの人々が第二次世界大戦で得た教訓、「多様性・多元性」の確保に反している。ナチス・ドイツは情報源を独占することで狂気の時代を生み出した。われわれにしても大本営発表の時代があったのだ。独占(そして情報操作)を阻止する基本的な担保は情報ソースを「多元化」しておくことであり、それはドイツだけでなくフランスなどの放送法やメディア法の基礎となっている。そのために(グーグルに)対抗できるような検索エンジンの必要性が叫ばれているのだ。』 |