ヘッダー Space『教師格差〜ダメ教師はなぜ増えるのか〜』(尾木直樹、角川ONEテーマ21:2007、6、10初版、2007、9、10四版) トップページ
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サブ・タイトルに引かれて買った。
この本は「心の病と教師」という項目から始まる。生徒・保護者からの圧力によって精神的に追い詰められた状態に陥っている教師が非常に多くなっていて、文部科学省によると2005年度の調査では、公立学校の教員92万人のうち「病気休職者」は7017人いたが、このうち「精神性疾患による休職者」は4178人(59,5%)にのぼるという。1995年度の調査に比べて病気休職者は約1、9倍、精神疾患による休職者は約3倍になっているという。
何が原因なのか?本書を読むと、原因は一つではなく複数の原因が複合してこのような状況を作り出していると説いているように見えるが、それは「当たり前」だろう。学校は独立してあるのではなく、社会の流れの中に存在しているのである。家庭もまた同じ、教師もまた同じ。社会がこれだけ急激に変わっているのに対して、学校制度、文部科学省、そして教師たちも対応し切れていない結果が、現在の学校を取り巻く状況を生み出したのだろう。
と、評論家のように(ま、著者は教育評論家だが)書くと、
「現場はそんなもんじゃない」
と、まさに現場の教師からは言われるが、しかしミクロな視点とマクロな視点をうまく使い分けながら調整を図る必要があり、どこか一つだけにすべての責任をおっかぶせることは間違っていると思う。
教育をめぐる問題に、いろんな人が悩んでいるということは、この本が出てから3か月で4版を重ねているところからも見て取れると思う。


★★★★

(2007、11、17読了)

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