養老先生の文章は、堂々巡りの短いセンテンスが多い。ナンセンスも多い。だから読みやすいようでわかりにくいところもある。特にこの本の前半は、そう。真ん中あたりから急にわかりやすくなってきた。そして「うん、うん」とうなずけることも多かった。結構、過激だな、養老先生。
2001年から7年にわたって連載してきた『中央公論』のコラム「鎌倉傘張り日記」は、これまでに『まともな人』『こまった人』という新書にまとめられたが、これはその最後のもの。『中央公論』連載も、今年70歳を機にやめたのだと言う。「老いじまい」ということか。で、タイトルが『ぼちぼち結論』である。この「ぼちぼち感」がよいのだろう。「ぼちぼち」と繰れば「行こか」「おいとまするか」「来るだろう」など、自らの意志と予測と呼びかけのビミョーな配合具合がよさそうである。一読の価値はあるだろう。
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