ヘッダー Space『ひとり誰にも看取られず〜
激増する孤独死とその防止策』
(NHKスペシャル取材班&佐々木とく子、
阪急コミュニケーションズ:2007、8、12)
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「孤独死」という言葉を初めて私が知ったのは、阪神大震災の後だから1995年のことである。当時の仮設住宅や、復興住宅で、高齢者が誰にも気付かれずに亡くなっていって、数日後、あるいはそれ以上経ってから死んでいるのが発見されるということが続出し「孤独死」が初めてクローズアップされたかに思う。当時も、
「これは被災地だけの問題ではない。ここには、10年後、20年後の日本全国で起きる姿が凝縮されているのだ」
と言われていたのを覚えているが、その予言は正しかった。あれから12年、既に「孤独死」は全国に見られる普遍的な状態になってしまった。しかし、状態が普遍的だからと言って、それがあるべき姿かというとそうではない。やはり「孤独死」は避けるべき状態なのだ。
特に近年問題なのは「高齢者の孤独死」ではなく、
「中年の働き盛りの男性の孤独死」
の問題であることを、本書は指摘している。この本は他局(NHK)の取材を元に書かれた本だが、この問題はNHKだけではなく、われわれの民放も、本当にこれから取り組んでいかなくてはいけない問題だと思う。
今年、私は子どもの小学校のPTAの役員をしているのだが、子どもたちを取り巻く環境の変化を強く感じる。私たちが子どもの頃とは明らかに変わってきている中で、地域や家庭は、どう子どもを守れるのか?それと同じ視線が、高齢者や職をなくした中年男性などにも向けられなくてはならない。全部リンクしているのだ。だから「こうすればすべて解決!」というような特効薬はない。特効薬はないが、部分的に少しでも改善するような治療を続けていかなくては、少しずつ状態は悪くなっていってしまう、それだけは感じるのだ。


★★★★

(2007、10、6 読了)

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