重松 清の作品はなんとなく好きなのだが、実を言うと、そんなに読んでいない。読むと、のんびりゆったりできるのだが、日頃そういったゆったりとした時間の中に身を置くことが少ないかもしれない。
この作品は、タイトルの奇抜さに引かれた。なぜゴジラなんだろう?と。また「毎日が日曜日」という言葉に関連したものかな?と興味を持って選んだ。
主人公の山崎さんを、著者は「山崎さん」と書いているが、続けて読んでなくて読むのを再開したときなんかには、
「あれ?山崎さんって・・・主人公ではなかったかな?」
と戸惑うことになる。その山崎さんの青年時代の、お母さんとの話や、今はオールドタウンとなりつつある「ニュータウン」の現在の話など、いろいろな問題の要素が詰め込まれた物語だ。最近、私もPTA活動をしていると、地域のコミュニティの人たちとのつながりもあって、大変現実味をもって考えさせられた。
物語の中では、それほど大きな事件は起きないが、それでも街には人生には、小さいけれど困難な“山”がいくつもやってくる。その出来事と、それに取り組む人たちの心情にそっと涙し、また力づけられる。そんな物語である。いいよ、これ。
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