ヘッダー Space『デジタル社会の日本語作法』
(井上史雄・荻野綱男・秋月高太郎、
岩波書店:2007、7、26)
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待ってました、井上先生!こんな本が出るのを!そうなんですよねー!ケータイメールの急速な普及で、文字の世界が話し言葉、それも俗語に侵食されているのですよ。ケータイの言葉は書き言葉じゃないんです。ま、私もどちらかというと「平成ことば事情」では、書き言葉ではなく話し言葉的な文章を書こうと思って書いているんですが、ケータイメールはそれどころじゃない、話し言葉、それもいわゆる「タメグチ」というところがポイントかな。そうすると、その「マナー」はどうなるのか?という問題になってくるのは当然!
以前私がむちゃくちゃ腹を立てたのは、一度も会ったことがない制作会社の新入社員がメールで送ってきた仕事の依頼書の日付が間違っていることを指摘したところ、
「単純ミスです(笑)」
という返事が返ってきたこと。これなんか明らかに、メールでの文章やコミュニケーションの取り方を間違った例でしょ!そういうヤツが増えておるのよ!
私が2000年から2001年にかけて委託研究員として通った大阪大学大学院の社会言語学教室のゼミで発表したテーマは、「コミュニケーションツールの変容と動詞の変化の関係」という、わかったようわからないような大学的なタイトルの論文だったのだが、要は「便利さと敬意は反比例する」というようなこと。わざわざ手間をかけるということは、相手に対する敬意の表現であるということ。だから、そういったコミュニケーションツールも、数は減っても生き残るというようなことを書いたのだが、この本でも同じことが書かれていたので、「やっぱりな!」と我が意を得たりと、ほくそえんだのでした。


★★★★

(2007、9、2読了)

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