待ってました、「金川」先生の新著!最初本屋さんで目にした時は、「金水」先生の著書かと思って、よく見ると「金川」先生の著書だった。
金川先生というと、以前『おいしい日本語』というおいしい本を上梓されて、大変おもしろかったことは、既に「2006読書日記53」で書いたが、それ以来のご本。その時は、
「読んだことがある言葉関係の本が次々と出てきたりして、「そうそう!」と思って読めるが、一般の人にとっては、おもしろいけどちょっと難しいかもしれない。そういう意味では、たしかに「大人のための」言語学入門である。大学1、2年生あたりでは難しいかもしれない。でも興味のある人にとってはとってもおもしろくてためになる本ですし、随所に顔を見せる金川先生のユーモア感覚も楽しい。」
と書いたのだが、その感覚はこの本でも感じた。いろんな本が紹介されているので、そういった参考書(言語関係の)を知るための「ブック・ガイド」としても使えるかも。
しかし、あまりにも広い知識の海をお持ちの先生だけに、話が結構、あっちゃこっちゃ飛ぶような感じがする。ライブ感覚の本と言えるかもしれない。あまり話が収束するようには感じられなかったというのが、今回の本を読んでの感想。グルービング感覚と言いますか、ノリはいいのだけれど。
でもとっても勉強になりますよ。
ドイツの文学者・クルティウスという人が、当時入手困難とされていたワイマル版の『ゲーテ日記』を探していて、ある日、ソーセージを買って包み紙を見ると、それが何と探し求めていた『ゲーテ日記』の一枚であったばかりか、求めていたまさにその部分だったというエピソードが紹介されていて、このことからクルティウスは「精神がひじょうに緊張しているときには、そのための努力をしなくても、求められるものが与えられる」と書いていると紹介されています。これは私も思い当たるところがあります。こないだから「負の遺産」とか「氷山の一角」などの言葉の用例を探していたら、それとは関係なしに読んでいた本で、次々とその言葉の用例にぶち当たったりしたことがあったばかりなので。人って、見えていても見ていないことがある反面、きっちり探していると、普段見ていて気付かないことに気付いたりする・・・ってことですよね!
なるほど!と思ったところはページの端を折るのだが、ほとんどのページの端が折れてしまって、これじゃ、折る意味ないよなと思ったぐらい中味の濃い本でした。これで735円は安い!1000円払います!
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