『週刊文春』でコラムを連載している辛酸なめ子さん。まだ若いのに(1974=昭和49年生まれ)、なんていう名前なんだ!!と、この自虐的なペンネームについては常日頃感じていた。本のタイトルは「自立日記」だがなんだか「自虐日記」に見えてくる。
とにかく、暗い。
まさに辛酸さんがコラムニストとして生まれる(自立する)までの、まるで「サナギ」のように鬱々とこもっていた時期の日記。この、クライ時代があってこそ、今の辛酸さんの、人生を斜めに見ながらもカラッとしているように見えるコラムが生まれたのかなとも思う。でも、辛酸さんのコラムの通奏低音としては「恨」がある。まるで韓国みたい。
女性ボーカルグループ「SPEED」の大大大ファンだった辛酸さん。コンサートに行った帰りに、こんなことを書いている。
「外に出ると一転して激しい雨が降っていた。もし、前橋グリーンドームが洪水に流され、ノアの箱舟みたいになったのなら、皆でSPEEDを囲んで地球の果てまで行けたのに。そんな妄想をしながらずぶ濡れになって帰った。今年も若さを吸収できてよかったです。」
・・・どこか「さくらももこ的」でもある。それにしても、妄想しすぎ!想像力=創造力でもあるのだが・・・。
それにしても、辛酸さんも、同じく今をときめく酒井順子さんにせよ、「女子高」出身。このところ、いきのいい女性エッセイストは、みな女子高育ちで、「女子高感覚」を持っているように思う・・・とどこかに書いてあったが、納得。そこに私なんかの共学校育ちの「男子」は魅かれるのかもしれない。未知の世界なので。 |