小林秀雄、と聞いただけで 「考えるヒント」とか・・・・「考えるヒント」とか・・・・とにかく教科書にも出てきて、本(文庫本)も買ったけど、なんだか難しくてそれほど読んだことはない。でもこうやって、珠玉の言葉を一冊にまとめてくれると、手軽に読むことができてよかった。ようやく読める年齢に、私もなったということか。
30ページに出てくる、「Xへの手紙」からの言葉、
「今の俺は所謂余計者の言葉を確実に所有した。君は解るか、余計者もこの世に断じて生きねばならぬ。」
うーむ、含蓄のある言葉だ。
そして「若き文学者の教養」では「今日の作家たちの教養の貧弱さは覆うべからざるものだ。(中略)言わば、教養の根を、今日の若い作家たちは失って了ったのである。」と記されているが・・・・これは1936(昭和11)年9月に発表されたものだ。その時期の「若い作家」は教養がなかったと。いつの時代でもそう言われるものなのか。待てよ・・・この時点で小林は34歳。本人も若いではないか。ここでいう「教養」は、おそらく「漢文の素養」なのではないかなあ。そして同じ時期に書かれた「言語の問題」では、
「現代の言語が非常に乱れているのは周知の事実だが、一般生活者には言語が乱れていようがいまいが問題は起こらぬ筈である。(中略)混乱した社会には混乱した言葉を使っているのが一番便利なのである。」
と書いている。いつの時代も「言語は乱れている」のですね。そして「それでいいのだ」という姿勢は納得です。 |