性同一性障害の上川あやさんは、世田谷区議となった。その選挙運動は、道行く人に、
「私の戸籍は男性です」
というフレーズを繰り返すことだった。本書の写真を見る限り、上川あやさんはどう見ても「女性」。その上川さんが「私の戸籍は男性です」と呼びかけるのは、インパクトがあったことだろう。私は本書を読むまで、
「別に戸籍なんて普段は関係ないし、性同一性障害の人でも容姿が変わったら、それでいいんじゃないの?」
という風に思っていたが、身近なことで言うと、たとえば選挙の際に、投票所の係の人に、「見た目は女性なのに男の名前の戸籍の投票券」を持ってきて、不審がられたりということがあったそうだ。ああ、確かにそれは、いちいちうっとうしいし、何も悪いことしていないのに、毎回毎回そんな目で見られるのは嫌だろうな、と想像がついた。
現代における「フツウ」とはいったい何なのか?そういったことも考えることができる一冊である。うーん、世の中難しい! |
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