ヘッダー Space『後手という生き方〜
「先手」にはない夢を実現する力』
(瀬川晶司、角川Oneテーマ21)
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将棋の奨励会にいた時にはプロになることが出来ず、タイムリミットで奨励会を退会させられて、いわゆる「負け組」となった著者。一旦は諦めて大学に入り、随分遅れて社会人となったが、趣味で続けた将棋でアマの頂点に立ち、一度はあきらめかけたプロの世界にまた挑戦。それも「プロ入り嘆願書」を出して、61年ぶりに行われた編入試験を受け、六番勝負を3勝2敗でクリアして35歳で見事プロになることが出来たという「遅咲き」である。野球のメジャーリーグでも『オールド・ルーキー』という映画があったが、まさに将棋界のオールドルーキーだ。しかし、これはだれにでも出来ることではない。大きな大きな挫折から立ち上がったというよりは、本来才能を持っていてプロになるベき人が、何かの理由でそこから漏れてしまったというレア・ケースのように思える。これをもとに、
「『誰でも』努力をすれば夢が叶う」
直結は出来ないと思う。本の中で著者は、自分と超一流の羽生善治さんや渡辺 明・棋王などとの違いも実感すると書いている。しかし、
「ある意味ではすごいよなあ、おれも!」
と思えるきっかけの人なんじゃないかなと思う。
この本は前半途中から、繰り返しの話が多くなって、くどい。もっと整理して書けばいいのになと思った。最後に載っている渡辺 明棋王との対談は、なかなかおもしろかった。

★★★

(2007、4、23読了)

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