「ミトコンドリア病」という難病の娘を持った父の記録。著者は、ほぼ同世代(1歳年上)で、ほぼ同じぐらいの年齢の子どもを持つ父親として、また同じ大学出身ということで、親近感がある。同時期に同じキャンパスの空気を吸っていたのだ、と。その意味でも、大変興味深い本。
「ミトコンドリア病」というのは、体細胞の中にある数百のミトコンドリアのうちの何割かがうまくエネルギー生産できなくなり、その悪いミトコンドリアが時間とともに増えていく病気だそうだ。なかなか成人まで生きられない難病なのだという。
また、「障害」と「障碍」という言葉(表記)について、(筆者注)として、
「現在は『障碍』よりも『障害』を使うことが多いが、ある人から『害の字はネガティブなので、障碍と書くのがいい』と勧められた。でも理由もなくよく考えないままの『書き換え・言い換え』はキライだったので、障害と書き続けていたが、ある本を読んで『当用漢字による書き換え以前は障碍だった』と知った。このため、本書では『障碍』を使用する」
と書いているが、こういった一つ一つ気に入ったものしか手にしないという姿勢は尊敬するが「生きていくのがしんどいだろうなあ」と思う。当用漢字前に使われていた漢字に、すべて戻して書いているわけではないので、本当はあまり理由にはならないだろうけど、他の言葉はともかく、こと「障碍」に関しては拘らざるを得ないという状況は理解できる。 |
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