この日垣の本は、「日刊ゲンダイ」に毎週木曜日に連載しているという「どこへ行くのかニッポン」と、他の新聞や雑誌に書いたものを集めたもの。もちろん時事ネタですが、それほど古くはなっていない。新聞などに書いていたものなので、いつもの「です・ます体」ではなく「だ・である体」なのだが、それが心地よい。偽善をビシバシ指摘するのに、ていねいな「です・ます体」の言葉は似合わない。それ自体が偽善に見えてしまう。
「あとがき」だけは、「です・ます体」で、ここの「偽善度」というか「嘘臭さ度」「おふざけ度」は高く感じられ、やはり「いやーな感じ」がする。終わり方なんぞはまさに(本来の意味での)鳥肌もの。「です・ます体」の言葉遣いでそれが偽善に見えないのは、櫻井よしこさんぐらいだろう。櫻井さんでも書く文章は「だ・である調」だ。
しかし私はなんだかんだ言って、日垣の本は出るたびに買って、ほとんど読んでいるではないか。「キライだとか言って、本当は好きなんじゃないの?」・・・そう・・・かも知れない。読んだ時に、世の中の矛盾点や常識のウソなどを暴いてくれる「痛快さ」があるのは確か。ただ、「毒をもって毒を制する」ような感じがあるので、気づくと自家中毒になっていそうな怖さがある。それが日垣の文章・・・というか「日垣という人」なのではないかと思う。 |
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