既成メディアに対する疑問・批判や、歴史的な事件の「ルポ」(のにおいの残るノンフィクション)を書いている著者の本は大体読んでいるが、この本は1年以上前に購入したものの読んでいなかった。と言うのも、
「なぜ、森 達也が『プロレス』なんだろうか?」
という疑問があったからだ。理由は、
「(森が)プロレス・ファンだから」
という単純なものだったが、森がプロレス雑誌の入社試験を受けたこともあるというのは、「へえー、それほど好きだったのか!」
と驚いた。
でも、なんとなく時間のあるときに読みたいなと思っていたので、このお正月休みに読んだ。内容は、力道山にも信用・尊敬された悪役レスラー「グレート東郷」の人生の軌跡をたどったもの。その出自に迫りながら、グレート東郷の生きた時代とはなんだったのか?母国とは?国籍とは?そういったことを考えさせられるノンフィクションだった。プロレスにあまり興味のない私でも耳にしたことがあるプロレスラーばかり(つまり昔のプロレスラー)出てくるので、親しみやすかった。
タイトルと本の体裁などについてひとこと。タイトルは『笑う悪役レスラー』の方が良かったのではないか?また、「(岩波)新書」というメディア(媒体)に書かない方がよかったのではないかという気がした。単行本の方が似合う。それにこの内容に、岩波は似合わない。 |
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