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『ご臨終メディア〜質問しないマスコミと
一人で考えない日本人』
(森 達也、森巣 博、集英社新書:
2005、10、19)
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森巣さんという人のことは知らなかった。オーストリア在住のジャンル横断的な異色作家で、1948年生まれらしい。デズモンド・モリスからとったペンネーム?ってこともなく本名なのかな。
「大手メディアの給料を、3分の1、いや10分の1にすれば、メディアは少しはマシになる」と。たしかにそういう面もあるかもしれない。しかし、「松尾スズキの説によると、『2ちゃんねる』に憎悪の書き込みをする連中の年収は、三00万円未満だそうです。大手メディアの連中の収入をこのレベルまで下げなければならない。」(森巣)と言うのだが、そうすると、メディアは「2ちゃんねる」の憎悪書き込みレベルになってしまうのではないか?
また、「手錠や腰縄にモザイクを掛けるのは偽善的で、引き回しそのものが人権侵害だ」というようなことも書いてあったが、ちょうど11月10日に最高裁で、和歌山カレー事件の林真須美被告が、自身の写真とイラストについて「肖像権侵害だ」と新潮社を訴えていた裁判の判決で、「法廷内の(隠し撮り写真はもちろん違法だが)イラストは違法ではない。しかし、手錠・腰縄姿はイラストでも違法だ」という判決が出た。そういったこととも重ね合わせて、我々にとっては大変興味深い本である。また「ころび公妨」など、初めて知る言葉もあり、刺激的な対談集だ。

★★★★
2005、11、6読了
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