評論家の梶原一明が、郵政大臣を経験した小泉純一郎との対談を中心に据えて、小泉の考え方を梶原が解説している。1994年当時発売から1か月足らずで4刷ということは、ベストセラーになったのだろう。
買ったもののカバーをかけたままで読んでなかったので、表紙は新品同様だ。
読み終わって感じたのは、小泉は11年前と基本的には変わっていない。そういう意味では大変評価できる、一本芯の通った人だ。最近は「ワンフレーズ・ポリティクス」と評されたが、11年前にはその基本理念を結構饒舌に語っている。最近そこまで話さないのは、手を抜いているのか?
2005年、衆議院を解散して郵政民営化についての「民意を問う」た小泉「総理大臣」は、その意気込みを評価されて、自民党の歴史的勝利・単独過半数を得た。
「民意」にもいろいろある。
民意を聞かない政治はダメだが、民意に従ってばかりでも、必ずしも国民は幸せになれるとは限らない。その舵取りをする政治家は、慎重さが必要である。イチかバチかのような二元論的方法は取るべきではない。たとえそれを国民の多数が望んでも、である。
ファシズムと民主主義は対立概念のように語られるが、ファシズムは民主主義の体内で生成され、成長する。ガン細胞のようなものである。それに気づいたときには手遅れ・・・にならぬよう、民主主義の体内のガンの早期発見と早期治療が必要なのである。
小泉の原点を知る上では、興味深い本だった。 |
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