『ドキュメンタリーは嘘をつく』
(森達也、草思社:2005、3、22)
この仕事をしている人にとっては、特に若手にとっては大変ためになる本である。
☆3つでもいいかなと思ったけど、少し辛めに採点して☆2つ半。
というのも、著者は「ドキュメンタリーかフィクションか」という二者択一的な問いかけをしているが、著者自身が書いている「善か悪か」「敵か味方か」「白か黒か」と二元論的に分けることのおかしさに、自ら陥っているのではないか。白か黒か二つに分けることは、便宜的に行われたたものであり、実は白に近い灰色だったり、黒に近い灰色だったりするのが現実である。その意味では「ドキュメンタリーかフィクションか(ノンフィクションかフィクションか)」ということも便宜上の分け方であって、その表現技法には、フィクションに近い物もあればドキュメンタリーに近いものもあると考えられるのではないか。それをどちらであるか判断するのは、視聴者なのではないか。
この本にも出てくるマイケル・ムーアの「華氏911」を見た時にもそういったことを感じたのだが、この本を読み終わってそんな思いを持った。
2005、9、4読了
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