著者の丹波元さんは、昔放送作家をしていて、私も読売テレビの番組でご一緒させてもらっていた。拙著『「ことばの雑学」放送局』がPHP文庫から出ることになったのは、実はこの丹波さんが仲人役をしてくださったからである。
年に1、2度お会いして1時間ほど話をする。そのときに「最近の大阪は・・・」という話が出るのだが、そうした元気のない大阪が元気を取り戻すにはどうすればよいのか。そのヒントを書き連ねたのが本書である。表紙には、「あなたと街に元気を取り戻すヒント」と記されている。
丹波さんは、たとえば今、巷で使われている大阪弁についても、品のないドギツイ大阪弁ばかりがクローズアップされること関して苦言を呈している。また大阪のマスコミについても、「牛丼が消える」といった際に、東京のマスコミと同じように大阪のマスコミが騒ぐのはいかがなものか、と言う。この種の話題はローカル色を出すのには格好の機会で、
『ちょっぴり皮肉や批判を籠めて、「大阪(関西)では、東京ほどに騒がないのは、他に旨いものがあるかでしょう」なり、「大阪人はそれほど牛丼に拘っていません」といった一歩退いたスタンスや、いっそ無視する姿勢で報道できなかったのはなぜだろう。』
と疑問を投げかける。たしかに、おっしゃるとおり。「牛丼狂騒曲」と言えるような異常な状態でしたからねえ。ただ、大阪人は「イベント」として「消える牛丼」に詰め掛けた、「イベント好き」の側面についても触れて欲しかったなとも思いました。
この本も含めて「なんや気になる『大阪』本」という見出しで、朝日新聞夕刊が2月25日にこの「大阪力」を取り上げていました。PHP文庫の担当者に聞くと、「おかげさまで売れ行きは好調です」とのことでした。 |
|
|