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『震災列島』
(石黒耀、講談社:2004、10、22)
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アナウンス部のI部長が「この本、おもしろいで。読む?」と言って差し出したのがこの『震災列島』。「たまたま苗字が俺と一緒やから買うたンやけど、おもしろかったわ。」とI部長・・・石黒部長が言うのでその本を、よく見たら・・・
「あ、その本の著者、知ってます!知り合いのお医者さんです」
そうなのです、知り合いのお医者さんがおととし『死都日本』という火山爆発のフィクション本を出して、それがあまりにもリアルなシミュレーションなので、火山学会でも話題になった、と聞いた事がありました。その『死都日本』、購入したものの、余りにも分厚いので、ちょっと手が出ずに本棚の肥やしになっていたのですが、その同じ著者による2作目が、この『震災列島』だったのです。これも分厚い本です。490ページ。
「読み出したらやめられへんで」という石黒部長の推薦どおり、490ページをほぼ一気に読み終えてしまいました。話、自体はフィクションですが、この本の発行日(10月22日)の翌日に、新潟県中越地震が起きていますし、小説の中で想定されたことと同じことが、現実にも起きているぐらい、このシミュレーションは正確なものです。それに小泉総理を思わせる早川信太郎総理大臣・慈民(じみん)党総裁の動きなどは不気味だし、舞台となった名古屋の名古屋弁が披露される場面などは、深刻な中にもユーモアをうまく交えた感じ。人物設定の妙というところでしょうか。
東海・東南海地震は連動するということなど、地震に対する知識がストーリー展開の骨子となっているため、苦労せずに興味深く読める地震への啓蒙書となっているとも言えます。
あとは、実際に本書をお読みください。これはすごい本ですよ。
なお、『週刊現代』12月4日号の書評で「特選パニック小説」として、あの『バカの壁』の養老孟司さんが絶賛しております。

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