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『下山事件』
(森達也、新潮社:2004、2、20)
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森達也さんというと、「放送禁止歌」「A2」などで知られる硬派のドキュメント・ディレクター。この業界の人なら知らない人はいない。と思ったが、身近な若手に「知ってる?」と聞いても「知りません」という答えが返ってきたので、知る人ぞ知るという感じか。
その森さんが書いたこれも硬派な「下山事件」。本屋さんに並んでいるのは見たが、堅すぎて読むのはちょっと・・・と思っていた。
そんなある日、後輩のWアナウンサーが「道浦さん、下山事件って知っていますか?」と聞いてきたのだ。「うん、一応名前ぐらいは・・・」と応えると、「ああ、そうですか」「なんで?」「実は広報番組のPのMさんが、下山事件の本読んでて、おもしろいよと言っていたので・・・」ということ。そうか、M君も読んでいておもしろいのか。それで踏ん切りがついて購入したのが半年前。買ったはいいが読まずにいたのだった。」
実は入社当時のアナウンス部長が、殺害された下山国鉄総裁の親戚だったということも「下山事件」に関心を抱いたきっかけだったのだが。
前置きが長くなってしまったが、この本は、下山事件の真相に迫るドキュメンタリーなのだが、まるで推理小説のように引き込まれていく。森さんはこれを映像化しないのだろうか。ドラマとして、すぐにでも映像化できるのではないか。ただ、後半は、森さんの調査が行き詰まるのと同時に、おもしろさも減少していく。尻すぼみ感は否めない。
しかし現実はそんなものなんだなあ、ということでは、まさに現実を映したドキュメンタリーということもできる気がする。

★★★★
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