ヘッダー Space
『真夜中の太陽』
(米原万里、中公文庫:2004、8、25)
トップページ
過去掲載分
ヘッダー

Space
ロシア語翻訳家で作家の米原万里さんの本は何冊か読んでいるが、とても頭の良い人で、男性的な骨太なユーモアを持った人だなというのが、文章から受ける印象である。(下ネタ
も多いし。)この本にまとめられたエッセイは、「ミセス」「婦人公論」に連載されたものをまとめたもの。「婦人公論」は読んだことがないのでよくわからないのだが、随分、硬派のエッセイを載せるのだな、という感じ。米原さんのエッセイは、「起・承・転・結」の「起・承」にあたる前半が、身近なおもしろい興味深い話題で笑わせて共感させておいて、「転」にあたる部分で突然、
「そういえばこれと似たようなことがある。ある国の政府の政策はまさにこのようなことではないのか」
というふうに急に視点を変えて、読者を「なるほど、そう言えばそうだ!」という思いにさせるのである。これは「上手だなあ」と思うのだが、雑誌だと続けて読まないので(月刊なら月に1回、週刊なら週に1回)同じ手法を使われていても、それほど気にならないのだが、こうやって1冊にまとめられると、「また、このパターンか・・・」と、ちょっとうんざりするのも否めない。こんなに上手な文章でもそうなのか、というか、上手に構成されていればいるほど、その思いは強くなるような気がするのである。

★★★
Space

Copyright (C) YOMIURI TELECASTING CORPORATION. All rights reserved